売上原価の算定
みなさん、こんばんは。
愛原 夢音です♪
今回は、決算整理のうちの6つ目「売上原価の算定」についてです。
ユメノ店は、当期から営業を開始しました。
当期に仕入れた商品は900円ですが、
このうちの100円はまだ売れていないので手許(てもと)に残っています。
決算整理仕訳と精算表の記入をどのようにしていくのかをみていきましょう。
例題
ユメノ店の当期の商品仕入高はは900円であるが、このうち100円は期末現在、
未販売である。
売上原価の算定
期首商品がない場合
三分法で処理している場合は、商品を仕入れたときに
仕入(費用)として処理します。
そのため、期末に残っている商品(まだ売り上げていない商品)の原価も
仕入(費用)の金額に含められています。
期末に残っている商品は資産になるので、
決算において期末に残っている商品の仕入原価(期末商品棚卸高)を
仕入(費用)から繰越商品(資産)に振り替えます。
例題をもとに、一緒に考えていきましょう!
当期の商品仕入高900円のうち、100円が期末に資産として残っています。
そこで、100円について仕入(費用)から繰越商品(資産)に振り替えます。
上記の考え方は、
消耗品を購入時に消耗品費(費用)として処理した場合、
決算において残っている分を消耗品(資産)に振り替えるのと同じ考え方です。
仕訳をすると
(繰越商品)100 (仕入)100 となります。
この時点で、仕入(費用)は800円(900円ー100円)になります。
この800円は、当期に売り上げた商品の仕入原価なので売上原価を意味します。
売上原価=当期に売り上げた商品の仕入原価
上記の仕訳を精算表に記入すると、以下のようになります。
精算表
勘定科目 | 試算表 | 修正記入 | 損益計算書 | 貸借対照表 | ||||
借方 | 貸方 | 借方 | 貸方 | 借方 | 貸方 | 借方 | 貸方 | |
繰越商品 | 100 | 100←期末商品棚卸高 | ||||||
売上 | 1,800 | 1,800 | ||||||
仕入 | 900 | 100 | 800←売上原価 | |||||
期首商品がある場合
今度は、期首に商品がある場合を考えてみましょう。
当期に仕入れた商品は900円ですが、そのうちの60円は期末において
手許に残っています。また、期首において前期から残っている商品100円あります。
決算整理仕訳と精算表の記入はどのようになるのか、みていきましょう。
例題
当期の商品仕入高は 900円、期首商品棚卸高は100円、
期末商品棚卸高は60円であった。
なお、売上原価は「仕入」の行で計算することとする。
ここまでの知識で仕訳を埋めると、
(繰越商品)60 (仕入)60 となりますね。
※期末商品を仕入から繰越商品に振り替えます。
期首に商品(繰越商品)がある場合、
期末商品は当期に売り上げていると考えて処理します。
したがって、売上原価の算定の際は
期首の繰越商品の原価を仕入(費用)に振り替えます。
※期首商品→売り上げている→原価は売上原価なので、仕入(費用)に加算する
という流れになります。
精算表の試算表欄・繰越商品は100円となっています。
試算表欄の繰越商品は期首の商品を表すので、
繰越商品(資産)100円を仕入(費用)振り替えます。
※繰越商品を減らして仕入を増やします。
よって、例題の仕訳は
この時点で、仕入(費用)は
900円+100円ー60円=940円 となります。
よって、売上原価は940円になります。
それでは、精算表に記入していきましょう!
上記の決算整理仕訳を精算表の修正記入欄に記入し、
損益計算書と貸借対照表欄を埋めていくと以下のようになります。
精算表
勘定科目 | 試算表 | 修正記入 | 損益計算書 | 貸借対照表 | ||||
借方 | 貸方 | 借方 | 貸方 | 借方 | 貸方 | 借方 | 貸方 | |
繰越商品 | 100 | 60 | 100 | 60←期末商品棚卸高 | ||||
売上 | 1,800 | 1,800 | ||||||
仕入 | 900 | 100 | 60 |
940←売上原価*3 |
売上原価と売上総利益
売上原価と売上総利益は、次の計算式で求めることができます。
売上高から売上原価を差し引くと、
売上総利益(当期の商品販売によって生じた利益)を求めることができます。
売上原価と売上総利益の計算の仕方についてはこちらにまとめているので、
こちらも合わせてチェックしてみてください!
上の計算式を、例題をもとにあてはめていくと、売上原価は…
100円+900円-60円=940円
売上総利益は、
1,800円ー940円=860円 となります。
<参考>売上原価を売上原価勘定で算定する方法
ここまで、期末に商品がない場合と、期首に商品がある場合をみてきました。
売上原価を算定する際は仕入勘定を使いましたが、
仕入勘定ではなく売上原価勘定を用いる場合もあります。
その場合、どのように計算するかというと…
①期首商品棚卸高を繰越商品(資産)から売上原価(費用 )に振り替える
②当期商品仕入高を仕入(費用)から売上原価(費用)に振り替える
③期末商品棚卸高を売上原価(費用)から繰越商品(資産)に振り替える
例題をもとに、一緒に考えていきましょう!
例題
次の資料に基づいて、売上原価を算定する仕訳を示しなさい。
なお、当店では売上原価は売上原価勘定で算定している。
期首商品棚卸高 100円
当期商品仕入高 900円
期末商品棚卸高 60円
上記で述べた3つのステップを踏んで進めていきます。
①期首商品棚卸高の振り替え
(売上原価)100 (繰越商品)100
②当期商品仕入高の振り替え
(売上原価)900 (仕入)900
③期末商品棚卸高の振り替え
(繰越商品)60 (売上原価)60
ここまでお読みくださり、ありがとうございました!
次回もお楽しみに…♪