ストレスに強い心を育てるために
みなさん、こんばんは。
愛原 夢音です♪
今回は、「認知行動療法」について詳しくみていきたいと思います。
認知行動療法とは
認知行動療法が生まれた背景
アメリカの精神医学科医、アーロン・T・ベック博士が
「認知療法」を発表したのが、認知行動療法の始まりといわれています。
認知療法とは、認知(考え方)を修正する療法のことです。
「考え方」が心の問題やコミュニケーションに
大きな影響を与えるということが、1950年代に判明します。
認知療法が世界的に注目されるようになったのです。
しかし、考え方を変えるだけでは根本的な問題は解決できません。
実際に行動しながら改善していくことが、大切になってきます。
そこでイギリスのクラークらは、認知療法と
実際に改善しながら改善していく行動療法を組み合わせて、
認知行動療法を生み出しました。
などの精神疾患の治療や再発予防に効果的だといわれています。
精神医療の現場だけでなく、ビジネスマンや
学校の生徒指導などにも使われるところが増加しています。
認知行動療法の基本
私たちは、生活する上で様々なコミュニケーションの
問題を抱えながら過ごしています。
- なかなか人の中に入れず、ひとりぼっち…
- 職場で馬が合わない上司や同僚がいて困っている など
コミュニケーションがうまくいかないと、
気分の落ち込みが長引いたり些細なことでイライラして
八つ当たりしてしまうことにもなりかねません。
そんなイライラの原因を解決するのに役立つのが、
認知行動療法なのです。
心のストレスを軽減するカギは、「認知」にあり
認知行動療法で重要となるのが、「認知」です。
1つの出来事に対して、受け取り方は人それぞれ違います。
事実の受け取り方やものの見方のことを、認知といいます。
喜怒哀楽という言葉があるように、人間には様々な感情があります。
- つらい
- 悲しい
- 楽しい
- 怒り
- 嬉しい …など
どのように認知するかによって、感情に大きな影響を与えます。
コミュニケーションにおいては、
認知のあり方を健康的に保っていくことが大切となります。
認知行動療法はどのように進めていくのか
ここからは、認知行動療法の具体的な手順について
書いていきたいと思います。
◇認知行動療法の手順
①ストレスに気付いて、問題を整理する
②考え方が感情や行動にどのように影響しているかを調べる
③日常生活を振り返り、心が軽くなる活動を増やす
④考え方と現実とのズレに注目して、自由な視点で
現実に沿った柔らかいものの見方に変える練習をする
⑥バランスよく考えられるようになったら、問題を解決する方法や
人間関係を改善する方法を練習して今できることに取り組む
具体的にはどのようなことを行っていくのか、詳しくみていきましょう。
認知を変える2つのステップ
認知と感情を分けて認知を「健康的」に改善
まず最初に、自分の中で認知と感情を分ける作業をします。
たとえば…
人前で話すのが大の苦手なあなた。
あがり症のあなたは、大勢の人を前にすると
なにがなんだかわからなくなるくらい緊張してしまいます。
しかし、どうしても自分が発表しなくてはならない状況になりました。
そんなとき、あなたはどう思いますか?
「こんなにたくさんの人の前で話すなんて…」
「上手く話せるかな…」と、緊張してしまう
↓
緊張しないように、違うことを考えよう!
↓
違うことを考えようとして、さらに緊張してしまう
このように認知は変えることはできますが、
感情を変えることは難しいのです。
感情を変えることが難しい一方で、
認知(考え方)は変えやすいです。
「緊張はするけど、言いたいことはしっかり言えるようにしよう」と、
自分の中で考え直すことができます。
考え直すことで感情が緩やかになることが、
心理学の研究でわかってきています、
認知と感情を分けられるようになると、
認知だけでなく感情のあり方も健康的に保つことができますよ♪
それでは、認知と感情を分ける作業を実際に行ってみましょう!
練習問題
高校時代に仲の良かった友人に食事の誘いのメールを送りました。
しかし、それから3日も返信が来ていません。
このような状況のとき、
あなたの「認知」と「感情」はどうなりますか?
早速分けてみましょう!
思考:
感情:
分けることができましたか?
私の場合は、こうなります。
思考:嫌われているから、返信が来ないのかな…
感情:不安、悲しい
考え方はいろいろなので、私の場合と全く違うという方も
いらっしゃると思いますが、それでもOKですよ!
このように、1つの出来事に対して
- どのように考えているのか
- どのように感じているのか
を分けて考えることが大切です。
【参考】心理 イライラはどこから来るのか?より
一部引用
別の可能性を探し出す
次に、自分の解釈とは別の可能性を挙げてみましょう。
ここで挙げる可能性は、現実的なものに限ります。
みなさんも是非、一緒に考えてみましょう!
◇他に考えられる現実的な可能性
・
・
・
私の場合は、こうなります。
◇他に考えられる現実的な可能性
・仕事が忙しくて、返信できなかった
・外出していてメールに気付かなかった
・体調が悪くて返信できなかった
・そもそも携帯をあまり使わないので気付くのに遅れた
・携帯の通知をオフにしてサウンドもオフにしていたので
気付くのに遅れた
・まだ返信は来ていないけど、これから来るかも…?
みなさんは、どんな可能性を思いつきましたか?
別の可能性を考えずに
「やっぱり私は嫌われている」と考えてしまうと、
相手に敵意を持ってしまい、関係が悪化することもあります。
私たちが日頃行っているコミュニケーションの間違いは、
現実離れした考えから起こっていることが多いです。
認知は放っておくと、どんどん悪い方向へ行ってしまいます。
いったん立ち止まって、その認知が
- 現実的なものなのか
- 別の可能性はないか
を考える姿勢が必要です。
感情の安定を助ける習慣
ここからは、「別の可能性を現実的に考える」練習について
書いていきたいと思います。
みなさんは、このような認知をすることはありますか?
自動思考に働きかけることで、ストレス耐性の強い心に
認知には、ある出来事に対して瞬時に浮かぶ考えがあります。
咄嗟に頭に浮かんだ考えやイメージを、自動思考といいます。
自動思考は「認知のクセ」にことで、
それによって気持ちが動いたり行動が起こったりします。
ゆがみ思考をチェックしよう
認知行動療法で大切なことは、自動思考のゆがみ、
つまりゆがみ思考を見つけてチェックすることです。
ゆがみ思考には、以下のようなものがあります。
◇よくある認知のゆがみ
・白黒思考
:物事を全て白か黒で極端に分けようとする考え方
「すべてが完璧にできない私は、駄目な人間だ」
・悲観的
:「うまくいくはずがない」と未来のことを悲観的に考える
「私なんて、誰からも好かれない」
・他人の考えを邪推する
:「相手はこう考えている」と決めつけてしまう
「あの人はやる気がない」
・~しなければならない(~すべき)
:「~すべき」と考えて、できない自分を責める
「もう新人ではないから、しっかりしなければならない」
・ラベリング
:自分や身近な人にネガティブな偏見を持つ
「私はつまらない人間だ」
・過小評価
:うまくいかないことばかりに注目する
成功したことは忘れている
「私はいつも他の人とうまく話せない」
それでは、再び練習問題です!
ストレスを感じる場面を3つ考えてみてください。
1.
2.
3.
私の場合は、こうなります。
1.また失敗してしまった…。だめだなあ、私。
2.どうして全然話せなかったんだろう。
頑張れば話せたかもしれないのに。
もっと話すべきだったなあ…。
3.すぐに話が終わっちゃう。
つまらないと思われているかも…。
話を続けられるようにしなくちゃ…。
そのとき考えていたことを書けたら、
次はそれを思考パターンに当てはめていきます。
先程書いた「そのとき考えていたこと」を参考に、
自分の思考パターンはどれに当てはまるのかを選んでいきましょう。
1.また失敗してしまった…。だめだなあ、私。
⇒白黒思考
2.どうして全然話せなかったんだろう。
頑張れば話せたかもしれないのに。
もっと話すべきだったなあ…。
⇒~しなければならない(~すべき)
3.すぐに話が終わっちゃう。
つまらないと思われているかも…。
話を続けられるようにしなくちゃ…。
⇒~しなければならない(~すべき)、
ラベリング
みなさんは、いくつ当てはまりましたか?
あてはまるものが多い、少ないことは気にする必要はありません。
あくまでも、自分の思考のクセを知るための作業なので
自動思考に気付くだけで充分OKです!
ストレスを感じる場面では、その人にしかない
ゆがみ思考があります。
そのゆがみ思考に気付くことが大切です。
ゆがみ思考の修正には、日記がオススメ
人それぞれ考え方は違います。
気持ちを変えることも難しく、
考え方をすぐに変えることはできません。
認知のゆがみを修正するには、
日記を書いて自分とじっくり向き合うことが有効です。
「ものの受け取り方」を変えて悪循環を解消するために、
日記を書いて見直すことで認知のクセに気付くことができますよ♪
そのときどのようなことを考えていたかを、
自分に問いかけながら書いてみましょう!
◇認知のクセに気付ける日記の書き方
- 今日の出来事を簡単に書く(あまり長くなりすぎないように)
- その出来事に対して感じたこと、考えたことを書く
- 3日後に見直して思考と感情が現実に沿っているかチェック
出来事に対して感情を書くことで、認知のクセが見えてきます。
時間が経った後に見直すと、自分の考え方について
客観的に見ることができるようになります。
以下の2つのポイントを頭に入れて日記を書くようにしましょう。
・1回だけでもまずはやってみる
「必ず毎日書かなければならない」わけではありません。
書きたいときに書いても大丈夫です。
まずは日記を書いてみるところから始めましょう!
・誰かにアドバイスするように書く
3日後に見直すときは、客観的に見ることが
難しくなることもあるかもしれません。
そんなときは、友人や家族など自分にとって大切な人が
同じ状況だったらどんなアドバイスをするかを、
考えながら書いてみると書きやすいです。
是非皆さんも、日記を書いてみてくださいね♪
【参考】
練習問題部分のみ一部引用