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人知れず釧路湿原の自然を守る、裏方のヒーローたち

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みなさん、こんばんは。

愛原 夢音です♪

 

今回は、世界のあこがれ~北海道ブランド~から。

釧路湿原のお話です。

 

 

 

 

 

北海道の東側、釧路エリアに広がる日本最大の湿原、釧路湿原

みなさんも1度は聞いたことがあると思います。

 

「行ったことがあるよ」という方もいらっしゃるかもしれませんね。

 

釧路湿原は、湿地の保存に関する国際条約、

ラムサール条約の登録湿地になっています。

 

水と緑が織りなす、美しい風景。

湿原の中を蛇行する、雄大釧路川

 

そして、タンチョウをはじめとする多種多様な動植物。

 

そこにしかない自然を求めて、日本だけでなく

海外からも多くの観光客が訪れる人気の観光スポットです。

 

そんな釧路湿原の魅力について、早速見ていきましょう!

 

 

釧路湿原のスケール感、あなたは想像できますか?

 

釧路湿原はとても広い、ということは容易に想像できますが

一体どのくらいの広さがあるのでしょうか?

 

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数え方にもよりますが、だいたい20キロくらい。

 

南北に伸びているので、それも含めると

36キロから40キロくらいの敷地面積になります。

 

国立公園の外側も含めた敷地面積は、

28,788haほどの広さがあるとのこと。

 

これは、湿原の中に札幌ドームの敷地が400個も入る広さ*1だそうです。

 

ちなみにヘクタールという単位は、

面積を比較しやすい単位として使われることが多いようです。

 

 

てつかずの自然が残る釧路湿原 

 

釧路湿原の1番の魅力。

 

それは、人の手が入っていない、

てつかずの自然が残っているということです。

 

昔の自然と環境がそのまま残っていますが、

これを維持していくのは簡単なことではありません

 

 

釧路湿原を守る舞台裏 ゴミと自然との戦い

 

心ない人が捨てたゴミや、いろいろなところから

運ばれてきたゴミが目のつくところに散乱している、

なんてことも珍しくはありません。

 

そのようなゴミがあると、「なにかプラスチックが見える」と

自然を楽しみに訪れた観光客が落胆してしまうことにもなりかねません。

 

実際、そのようなこともあるようです。

 

釧路湿原の自然を守ろう、ということで立ち上がったのが

市民によるボランティア活動です。

 

市民がボランティアとなって、ゴミ拾いを行っています。

実はこのゴミ拾い、一般の人が見えないところで行われているんです。

 

観光客からは「昔の自然のままで素敵ですね」と

言われることがあるそうですが、その貴重な自然を守るべく

舞台裏で一生懸命ゴミ拾いをしているボランティアがいるということを

私たちは肝に銘じておかなければなりませんね。

 

自然保護のためにも、ゴミは捨てずに持ち帰るということを

頭に入れておかなければなりません。

 

ボランティアの切なる願い

 

なぜ市民が、ゴミ拾いのボランティア活動をしているか。

その理由は、2つあります。

 

1つ目は、

 

地域に残る自然を自慢できる宝物として残したいという

強い思いがあるということ。

 

2つ目は、

 

釧路湿原は人間だけのものではなく、渡り鳥や水鳥などのすみか

なっていて、自然自体の持っている役割が非常に大きいということです。

 

小さな子供から年配の方まで、この2点を頭に入れながら

ボランティア活動をしているようです。

 

それが積み重なっているからこそ、「釧路湿原」という

素晴らしい観光資源の1つとなっているわけですね。

 

 

多様性が共生する場所

 

釧路湿原には、700種類もの植物が生息しています。

 

1,100種類の昆虫や鮭の仲間のイトウなど、

388種類もの魚類、両生類やは虫類、200種類の鳥類だけでなく

哺乳類のキタキツネなども、この湿原をすみかとしています。

 

多様性のある生き物が、この広大な釧路湿原で共生しているのです。

 

その中で、釧路湿原を代表する生き物としては

キタサンショウウオが挙げられます。

 

キタサンショウウオはハ虫類・両生類の部類に入りますが、

北海道にしかいない、珍しい生き物です。

 

鳥類では、タンチョウヅルが有名です。

 

貴重なタンチョウヅルが釧路湿原で発見

 

このタンチョウヅルは、70年ほど前に絶滅したといわれていましたが

湿原の中からタンチョウヅルが発見されて以降、

地域の住民が餌づけをするようになりました。

 

その甲斐あって、現在ではタンチョウヅルが

1,500~1,600羽前後まで数を増やしています。

 

増やしている、といってもまだまだ少ないというのが現状です。

 

そんな鳥たちも、釧路湿原をねぐらとしています。

 

雪原を駆け抜けるエゾシカとキタキツネ

 

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哺乳類のキタキツネやエゾシカは、

夏は湿原の周囲を歩いていますが冬になると別の行動に出ます。

 

冬は雪が積もるので、湿原の中を歩けないという心配がありません。

そのため、雪原を自由自在に走り回ります

 

湿原自体の幅は20キロくらいあるので、遠回りするよりも

ダイレクトに通る方が移動しやすいですよね。

 

その点で、キタキツネやエゾシカの活発な姿がみられるかもしれません。

 

 

 

キタキツネやエゾシカは、湿原の中を歩くことはできません。

ずぶずぶと足を持っていかれてしまいますからね。

  

 

そのため、冬以外は湿原の周囲を歩くのです。

 

 

 

誰にも狙われない、「天然の要塞」

 

これにより、得をしたのがタンチョウヅルです。

 

巣をつくっても誰も来ないので、

卵が食べられたりする心配もなく子育てができます

 

そのおかげで、タンチョウヅルは生き延びることができたのです。

 

 

タンチョウヅルは、春に子供を成長させていきます。

 

パートナーと子作りを始め、冬には卵を産み落とします。

春先に卵がひなにかえって、ある程度大きくなるのが秋ぐちなのです。

 

それまでの期間、つまり春から秋までは誰もやってこれないので

鳥たちにとっては天国のような環境になっているのです。

 

鳥類は冬には移動しているので、

雪原ではまた違ったところがみられるかもしれませんね。

 

 

湿地帯ならではの風景

 

観光客の人が間違いなくみられる植物が、ヤチボウズ

 

これはヤチ科の植物で、湿地帯かつ寒いところにしか

生息できない植物です。

 

草が冬場に凍結して、凍結した氷が大地を持ち上げます。

その植物が空中の方に成長していきます。

 

何年かすると、先端が髪のように

ぱさっ、と広がるような坊主頭のような形になります。

坊主頭に見えることから、ヤチボウズという名前がつきました。

 

このヤチボウズ、湿原の中にたくさん成長している姿がみられます。

 

ヤチボウズそのものも冬には凍りますが、その周りには

氷があったり、氷が少し解けたりしています。

 

人は歩くことはできませんが、ヤチボウズの上をぴょんぴょんと

飛び跳ねながら歩いて行けるという生態系をしていて

それを見られるところが面白い、と

釧路ウエットランドの事務局長が話されていました。

 

ヤチボウズは草が集まって固まった感じの、妖怪のような姿をしています。

興味がある方は、是非調べてみてください。

 

 

「ヤチ」が意味する意外な理由

 

「ヤチ」は湿原、湿地を意味します。

 

札幌市に「大谷地」という場所(厚別区)があります。

この「谷地」というのは湿原という意味で、

大谷地にはもともと湿原があった場所だといいます。

 

ヤチという名前の付くものは、地名以外にもあります。

ここではもう1つ、ヤチマナコについてご紹介していきたいと思います。

 

湿原の中には、大きな水たまりがあります。

その水たまりの深さは、2mから3mと深いくぼみになっています。

 

これが、ヤチマナコです。

 

そこに大きなイトウ(鮭の仲間)が住んでいて、

小さな子馬が落ちてしまい食べられてしまった…

 

 

というアイヌの伝説があるほど、

ヤチマナコは深い沼のようになっています。

 

何mもあるので、大きさによっては人間でも

1度入ってしまったら出られなくなるほどの深さだといいます。

 

どうやって、ヤチマナコはできたのか。

 

たまたま湿原の植物が何かの理由で動いてしまい、

そこからくぼみができて水がたまったから、だそうですが

 詳しい理由は、未だわからないそうです。

 

つまり、偶然によって誕生したのがヤチマナコなのです。

 

ヤチマナコはいわゆる底なし沼のようなものなので、

入ったら出てこられない可能性もあります。

 

そのことをしっかりと頭に入れた上で、自然を楽しむようにしましょう!

 

 

 

見るだけじゃない!釧路湿原を満喫する方法

 

釧路湿原の楽しみ方は、見るだけではありません。

他にも、自然を満喫できる方法があります。

 

ここでは、そのうちの4つをご紹介します。

 

まず1つ目は、カヌーです



釧路湿原には、大きな川が蛇行しながら流れています。

その川の名は、釧路川

 

東側に向かって下るカヌーが観光客に人気です。

 

所要時間は、1時間から1時間30分ほど。

 

西と東に大きな高低差がありますが、湿原の中は急流ではないので

子供だけでなく高齢の方も楽しむことができます

 

もちろん、子連れの方も十分楽しむことができますよ!

 

カヌーで下っていく先には、人工物が全く見えません。

見えるものは、川と湿原だけ

 

珍しい鳥やエゾシカの姿を見ることができるかも…?

 

 

2つ目は、ホーストレッキングです。

実際に乗馬をしながら、釧路湿原の自然を堪能することができます。

 

ここで、 ホーストレッキングが行われるようになった

背景についてご説明します。

 

現在とは違い、昔は木材を運搬するために馬が必要不可欠でした。

しかし、時代は変わり次第に線路ができ、鉄道が開通します。

 

鉄道の開通により、木材の運搬に馬を使うことがなくなってしまいます

 

「いらなくなったから使わない、なんてもったいない」と、

牧場のオーナーはホーストレッキングを行うことを思いつきます。

 

ホーストレッキングのコース内では、

壊れているところがないかの確認、点検を行います。

 

また、一般の人が大切な草を踏みつけたり

草花を取ったりしないようにモニタリングをするのも、

このホーストレッキングの役目です。

 

馬は、「どさんこ」といって気性は穏やか。

寄り道もせず草花も食べないので安心してホーストレッキングができます。

 

と同時に、環境保存もできるので一石二鳥です。

 

自然を大切にしながら、自分も自然の一部になれる

それが、このホーストレッキングの魅力です。

 

3つ目は、バードウォッチングです。

 

釧路湿原には200種類もの鳥類が生息していますが、

その中でも特に人気が高いのが、タンチョウヅルです。

 

タンチョウヅルの給餌には、写真家がたくさん集まります

 

滅多に見られない光景を写真に残そうと

シャッターを切る人たちが、目に浮かんできますね。

 

 

4つ目は、期間限定のホタルツアーです。

水辺にはたくさんのホタルが集まってくるそうです。

 

このツアーも人気が高いのだとか。

 

みなさんも、釧路湿原の自然の美しさと素晴らしさを

肌で体感してみてはいかがでしょうか。

 

 

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

 

長くなってしまいましたが、

釧路湿原の魅力について知っていただければ幸いです。

 

次回もお楽しみに…♪

 

 

*1:湿原が22,000haの広さだとした場合