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ウイルスを「正しく畏れる」ってどういうこと!?生物学者から見た新型コロナとの付き合い方

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みなさん、こんばんは。

愛原 夢音です♪

 

今回は、坂本美雨のディアフレンズから。

ゲストは、分子生物学者で青山学院大学教授の福岡伸一さん。

 

坂本美雨さんが「ディアフレンズ」を担当してから、

ついに10周年に突入!

 

そんなディアフレンズが初めてゲストとして迎えたのが、

福岡伸一さんだったんです!

 

当時福岡伸一さんに教えてもらった本が、

坂本さん自身にとって大切な1冊になっているとのこと。

 

そんな福岡伸一さんは、ニューヨークと日本を行き来しています。

 

アメリカで行われたロックダウン時のことや、

これから私たちがコロナウイルスとどのように

付き合っていけばいいのか、そして坂本さんの大切な1冊とは

どのような本なのかについて伺っていきます。

 

 

坂本美雨が大切にしている一冊とは…

 

坂本さんの「ディアフレンズ」に

初めてのゲストとして招かれた福岡伸一さん。

 

レイチェル・カーソンセンス・オブ・ワンダーという本を

福岡伸一さんは坂本さんに勧めました。

 

今では、その本が坂本さんにとってとても

大事な本になっているといいます。

 

イベントで朗読をしたりもするそうです。

 

 

まるでSF映画アメリカで行われたロックダウン

 

現在は東京にいらっしゃる福岡伸一さんですが、

ニューヨークをベースに研究活動を行っています。

 

ニューヨークでのコロナの自粛期間というのは、

日本よりも遥かに閉鎖的で厳しい状況だということは、

みなさんもニュースなどでご存知のことかと思います。

 

ガラパゴス諸島を満喫!?

 

福岡伸一さんのニューヨークでの暮らしは、

どのようなものだったのでしょうか?

 

今年の3月の初めのことになりますが…

 

実は福岡伸一さん、まだアメリカにコロナが押し寄せてくる

少し前に、ガラパゴス諸島に探検に行っているんです!

 

これは、福岡伸一さんの積年の夢だったのだそう。

 

ガラパゴス諸島というのは、赤道直下にある

エクアドル海上1000キロにある絶海の孤島です。

 

テレビ番組「ダーウィンが来た!」でお馴染みの

進化論を打ち立てたチャールズ・ダーウィン

 

みなさんも、ダーウィンや進化論という名前は

聞いたことがあると思います。

 

そのチャールズ・ダーウィンは、ガラパゴス諸島へと

探検に行ったことで知られていますよね。

 

そこで見た不思議な生き物たちから、

進化論の着想を得たというわけなんです。

 

生物学者にとっては、聖地のような場所

それが、ガラパゴス諸島です。

 

そんなガラパゴス諸島に、1度でいいから行ってみたい

ダーウィンが見た景色を、この目で見たい

 

その願いは、実現することとなります。

 

ただの観光旅行ではなく、ダーウィンが見た風景を

ダーウィンが辿ったのと同じ航路で見てみようという

ある意味「贅沢な願い」を持って福岡伸一さんは旅へと出かけます。

 

想像を絶する素晴らしい環境に、ゾウガメやイグアナなどの

生物が生息していて、その話だけでもこの番組だけでは

語り切れない…と苦笑する福岡伸一さん。

 

旅を終えて観劇に包まれながら、福岡伸一さんは

エクアドルからニューヨークへと帰還しました。

 

帰国後すぐにアウトブレイク

 

ニューヨークに戻ったときはまだ感染は広がって

いなかったのですが、福岡伸一さんがアメリカに入国した

3月の第2週から、急にアウトブレイクがはじまりました

 

それから一気に感染者は増加

たちまち、街全体がロックダウンされてしまったんです。

 

マンハッタンのニューヨークの街が、SFのCG処理をして

人や車を消してしまったような、シュールで

リアリスティックな風景になってしまったといいます。

 

福岡伸一さんを含めた住民の方々は、食料を調達するため

買い出しに行くことはできましたが、それ以外は自宅待機

 

しかも、未知のウイルスが襲ってきたというだけでなく、

重症化すると致死的な状況に陥るということで、

ニューヨークには緊張が走りました。

 

普段は自由気ままに過ごしているニューヨーカーたちも、

きちんとマスクをしてソーシャルディスタンスを保ち、

外出禁止令を守っているということで、

ニューヨークは完全に「緊張した街」になってしまいました

 

10年前ディアフレンズの番組がはじまったときには、

まさかこんな未来が来るとは、福岡伸一さんは

想像すらできなかったといいます。

 

誰もが、そんなことは想像できなかったでしょう。

 

しかし、現実にはそのようなことが起こってしまいました

 

影響は研究にも

 

福岡伸一さんの研究には、どのような影響があったのでしょうか?

 

大学も全て閉鎖され、ほとんどの会議や授業は

オンライン化してしまいました。

 

特に福岡伸一さんのような研究者は、研究室で実験を

行わなければならない部分がどうしても出てきます

 

それが制限されてしまったので、実験研究という意味では

大きな影響があったといえます。

 

幸い、福岡伸一さんは哲学的にものを考える執筆を中心に

理論的な研究を行っているので、長い本を書くことができたのだとか。

 

ガラパゴス諸島に思いを馳せて

 

その本のテーマは、ガラパゴス諸島に関係する物語

 

ドキュメントの旅行記に加えて、それをもとに

イマジネーションを膨らませ創作した物語も書いたのだそう。

 

どんな物語なのか、興味がそそられますね。

 

 

私たちは、コロナウイルスとどう付き合っていくべきか

 

ここからは、コロナの状況やコロナとどのように上手く

付き合っていけば良いのかについて書いていきたいと思います。

 

コロナと付き合わざるを得ない状況となっていますが…

生物学者福岡伸一さんの見解は、どのようなものなのでしょうか?

 

早速、その見解について伺っていきます。

 

先程、ニューヨークでの生活や

ロックダウン時の状況をお伝えしましたが…

 

まだ何もわからない時期から、だんだんと解明されていく

この時代を生きているというのは、特別なことのように思いますよね。

 

福岡伸一さん自身も、このような時代が急激に世界を

覆い尽くすことになるとは、想像だにできなかったと話します。

 

ですが、長い生物の歴史を見てみると…

 

幾度となくこのような病原体やウイルスに人類はさらされてきて、

その度になんとか生き延びてきました

 

そのことから鑑みても人間はコロナ禍の中を

生き延びていくと思う、と福岡伸一さん。

 

それでは、感染者がなかなか減少しないこの現状において

どうすればいいのかと考えたときに、

 

「正しく畏れる」ことが大事だと福岡伸一さんはいいます。

 

この、「正しく畏れる」とは、一体どういうことなのでしょうか。

 

 

ウイルスを「正しく畏れる」とは、どういうことか

 

畏れというのは、先述したレイチェル・カーソン

センス・オブ・ワンダーという本の中で主張されている、

自然に対する畏敬の念」のことを指します。

 

畏敬の「畏」は、「恐れる」と読みます。

「敬」は敬う、ですよね。

 

自然が持っている動的抵抗、つまりダイナミズムの1つとして

ウイルスがやってきて、通り抜けていく

 

これは、自然の中で起こりうることなんです。

 

ですからただやみくもに怯えるのではなく、

それを自然の1つのサイクルとみて、「正しく畏れる」

 

そのことが、とても重要なのだといいます。

 

ウイルスに感染しないためにも、手洗いや

マスクをすることはもちろんソーシャルディスタンスを

保つということは、心掛けなければなりません。

 

しかし、人間にできることは100年前に大流行した

スペインかぜのときと全く変わっていないんです…!

 

変わっていることといえば、技術の進歩です。

 

検出する技術の方は、PCR検査や抗体検査など非常に

鋭敏な方法でウイルスの感染を検出することができます。

 

検出数がどんどん増えるので、

その脅威についつい怯えてしまいがちですが…

 

人間ができることは、ごくごく限られています

 

感染しないように努力すると同時に、自分自身の体が

身近な自然であるということを今一度、見つめ直さなければなりません。

 

私たちの最も身近にある自然といえば、

 

「山や海に行って自然を楽しむ」

 

といったことを真っ先に想像してしまうかもしれませんが、

ここで言う「自然」とは、それとは意味が異なります。

 

実は、ウイルス自体も自然の1つなんです。

驚きですよね。

 

自分自身の体も自然なのですが、その中には病原体が

侵入してきたときに適切に戦うための免疫システムが備わっています。

 

ですので、まずは自分自身の体を信じるということがとても重要です。

 

第1弾の免疫システム、「自然免疫」。

 

ウイルスが体に侵入すると、まず最初にこの自然免疫が

発動してウイルスを攻撃します。

 

さらに、抗体を自分でつくりだすこともできます。

 

そんな強い味方が、私たちの体にはたくさんいます。

 

まずは、自分の体を信じることが大事

 

これは、レイチェル・カーソンが著書で主張したことと同じことなのだそう。

 

ウイルスと聞くと、どうしても「人間の生活を脅かすもの

というマイナスのイメージがとても強いものですが、

自然のシステムの中ではただ1つの生物であって、

「敵」や「悪いもの」では決してない、ということなんです。

 

そう考えると、ウイルスに対する見方も少し変わってきませんか?

 

ウイルスは敵ではないし、撲滅したり完全制圧すれば

良いというものではありません

 

長い進化の中で、他の生物の間を浮遊する不思議な存在なのです。

 

ウイルスはもちろん害をなすものもありますが、多くの場合は無害。

 

目に見えないウイルスで検出されていない

ウイルスは、何百、何千もいます。

 

現在は新型コロナウイルスということで恐れられていますが、

やがては新型ではなくなり、インフルエンザと同様に

通常のかぜウイルスとして付き合っていくことになります。

 

それが、人間とウイルスの共存の仕方です。

 

研究が進み、新型ではなくなると治療薬やワクチンができ

安心感は増えますが、まずは

 

自分自身の免疫システムがあるから大丈夫

 

と肯定的に考えるようにしましょう。

 

過剰にならないということが、大切になってきます。

 

ウイルスも人も変わる?

 

インフルエンザのように、毎年少しずつウイルスは

性質が変わっていくものなのでしょうか?

 

コロナウイルスも、そのようなものの1つになっていくと

福岡伸一さんはいいます。

 

ウイルス自体もだんだんと変化しますし、

人間も5年、10年と経てばたくさんのウイルスに遭遇して、

人間は自然な意味で免疫記憶を持つようになります。

 

これがいわゆる「集団免疫」ですが、そういう風にして

人間とウイルスの間に動的な並行がどんどん成立していき、

共存していけるのではないか、と福岡伸一さん。

 

まだまだコロナウイルスの影響が色濃く残る中、

私たち一人一人がしっかりと意識して考えて行動していく。

 

それが、今の世の中には求められている気がします。

 

 

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

次回もお楽しみに…♪