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新型コロナウイルスの研究、どこまで進んでる?パンデミックを起こさない世界にするには

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みなさん、こんばんは。

愛原 夢音です♪

 

今回は、世界のあこがれ〜北海道ブランド〜から。

前回に引き続き、感染症研究についてお伝えしていきます。

 

 

新型コロナウイルス感染拡大で注目される、感染症研究。

 

北海道大学では、2005年にインフルエンザウイルスや

エボラウイルスなどの人獣共通感染症

調査・研究するリサーチセンターを設置。

 

世界でも珍しい組織として、高い評価を受けています。

 

「人」と「獣」、「共通」と書く人獣共通感染症

 

前回は、北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターのセンター長、

鈴木定彦さんに「人獣共通感染症と何か」についてや、

リサーチセンターの活動についてお伝えしました。

 

今回も鈴木定彦さんをゲストにお迎えして、

新型コロナウイルスの研究や今後目指すことなどを伺います。

 

今回のポイントは…    先回り

 

 

何を先回りするのでしょうか?

 みなさんも一緒に考えてみてくださいね!

 

 

 

文部科学大臣から共同利用、共同研究拠点に認定 その役割とは

 

北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターは

文部科学大臣から共同利用、共同研究拠点に認定されています。

 

これは、どのような役割を果たしているのでしょうか。

 

まず、全国の感染症を研究する人、

あるいは研究をしたい人から共同研究を募ります

 

そして、北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターが

持っている機材を使ってもらい、感染症研究を共同で行う

いうことで文部科学大臣から認定を受けています。

 

全国的には、感染症研究をしたくても専門的な施設が

北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターほど

揃っているところがなかなかない、というのが現状です。

 

VAIOセルフティーレベルスリーという施設があるのですが、

これは日本の大学の中で最も大きな規模の大きな施設となっています。

 

それが、北海道大学の中にあるということなんですね。

 

1つのまとまった施設としては、

日本の大学の中で最も大きいものとなっているんですね。

 

現在は、全国だけでなく海外からも共同研究に来ています。

今年度の共同研究は、28件。

 

これは、北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターから

資金を援助しているものです。

 

その内の3件は、海外から。

タイ、ネパール、エジプトとも共同研究を行っています。

 

それに加えて…

 

日本である程度の感染症研究がしっかりできる大学もあります。

 

その中の5つの大学とはサポートという形で、

少し大きな規模で共同研究を行っています。

 

こういった研究は、多くの人と研究した方が成果は確実に上がります

 

北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターでは、人数が限られています。

そのため、全てを網羅できるわけではありません

 

それぞれの大学の先生方にはそれぞれの得意分野があります。

 

それを互いに補い合うことで、より高い成果につながるという

考えのもと、共同研究、共同拠点として活動しているのです。

 

WHOのコラボレーションセンター どんな役割を果たしている?

 

さらに、WHOにはコラボレーティングセンターに指定されています。

 

このコラボレーティングセンターは、どんな役割を補っているのでしょうか?

 

北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターが

コラボレーティングセンターに指定されたのは、2011年。

 

その目的は人獣共通感染症に関するトレーニングコースを開き、

途上国の人たちに教え現実的な診断方法を確立すること。

 

人獣共通感染症について途上国の人たちに教えたり、

その診断方法やサーべランスを強化する手伝いもします。

 

情報収集やWHOの広報の手伝いといったことも、行っているのです。

 

ここで重要なのは、発展途上国で実際に使える診断法を広めていくということ。

 

日本でできる診断や治療法でも、アフリカで日本と同様の

診断や治療法ができるとは限りませんよね。

 

むしろ、できないことの方が多いです。

 

なにしろ、環境が違いますからね。

 

そのため、現地で使える方法をつくることが大切なんです。

 

たとえば、ある国で感染症アウトブレイクが起こったときは

その国に行って実際に協力するということも、1つの活動として挙げられています。

 

世界規模の話で、どこか遠いことのように

思える方もいらっしゃると思います。

 

ですが、研究するだけではなく研究成果をどう生かすのか、

途上国でその方法が生かせるのかといったことは、

決して私たちの生活には遠くないものだと、私は思います。

 

鈴木さんのいる北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターが

目指しているのは、「社会実装(じっそ)」といって、

実際に感染症の現場で使ってもらうことです。

 

感染症の現場に行き、感染症対策にあたれる人を育てることも

行っているので、単なる研究だけでは終わりません

 

むしろ、そこから長いわけなんですね。

 

 

新型コロナウイルスの研究、どこまで進んでる?

 

北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターは、

新型コロナウイルスについても研究を行っています。

 

新型コロナウイルス感染症の発生直後、

北海道の人と札幌市の人が2月末に鈴木さんのもとを訪れました。

 

「一緒になにかできませんか」

 

ということで話をしたあと、

 

実際に5月1日に札幌市、5月27日に北海道と

 

「検査を一緒にやります」

 

という契約を結んでいます。

 

何かあればすぐにでも検査に協力する体制をつくっているんです。

 

新型コロナウイルス治療薬の開発

 

そして、塩野義製薬北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターの

研究部門では新型コロナウイルス感染症の治療薬開発をどんどん進めています。

 

6月の初めに、塩野義製薬から

 

北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターと一緒に

 新型コロナウイルス感染症の薬を開発して

 2020年度の臨床試験開始を目指している」

 

ということでプレスリリースがされています。

 

 

改めて、今の状況でいろんな方面から色んな方々が

努力されているということがわかりますね。

 

 

これから、どんどん冬に近づいていきます。

 

ニュースでも取り上げられているように、1番恐れられているのは

インフルエンザと新型コロナウイルスの同時流行です。

 

実は…

 

現在、それに備えて1つの検体からインフルエンザか

新型コロナウイルス感染症なのかを鑑別できる

新しい診断方法を若手の教員の先生たちがつくっている最中です。

 

実際に臨床の検体、つまり患者の検体を使った試験もはじめています。

 

たとえば、インフルエンザと新型コロナウイルス感染症

同時流行する時期になったとして、高熱が出たとします。

 

そうすると、その高熱がインフルエンザからくるものなのか、

新型コロナウイルスの症状なのかわかりませんよね。

 

その高熱の原因がどちらのものなのかがわかる、という

研究をしているということなんです。

 

とても大切な研究ですね。

 

北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターが目指すこと

 

北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターが

今後目指すものは、どんなことなのでしょうか?

 

現在大学の方にお願いしているのは、

「活動をもっと広げるべきだ」ということです。

 

たとえば、今回のようにパンデミックが起こってしまうと、

どんどん広がっていってしまいますよね。

 

北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターでは、

パンデミックが起こる前に未然に防ぐことを目標としています。

 

まず、世界規模で調査をして人に影響を与えるかどうか

わからないような病原体を見つけます。

 

そして、病原体を集めたバンク「病原体バンク」をつくります。

 

病原体バンクの中から、

 

この病原体は人に大きな影響を与えるのか与えないのか

 

を研究するのです。

 

人に大きな影響を与える可能性があるものに関しては、

まず診断することが大事です。

 

それと同時に、予防や治療も大切になってきます。

 

あらかじめ予想がついていれば、病原体に対してすぐに

治療薬ができるシステムもつくることができますよね。

 

前もって、予防薬を準備しておくこともできます

 

それができていれば、今回の新型コロナウイルス感染症

ここまで広がる前に抑えられたはずです。

 

北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターの

目指しているところは、感染を未然に防ぐということなんです。

 

国際的にも、人員的にも感染症を未然に防止することを

強化する必要があります。

 

今よりも、もっともっと強化していかなければなりません

 

感染症研究に従事する人材の育成も重要な課題となっています。

 

現在、そしてこれまでに日本、そして世界のいろいろなところで

いろいろな生き物を調査し、菌やウイルスをストックしています。

 

なぜ、ストックしているのか。

 

それは新型コロナウイルスのように、今後アウトブレイク

起こったときにストックがあれば、先手が打てるからです。

 

センターでしっかりと行っているのは、

北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターを統括している

喜田宏さんがずっと行ってきた、インフルエンザウイルス株の

ライブラリーの研究です。

 

喜田先生は、カモなどの野生動物からインフルエンザウイルスを採取。

全ての体のウイルスを集めています。

 

その中からピックアップしたものを、

発病性があるかないか」という可能性をあらかじめ調べ、

新たに病気を起こしそうなものについてはワクチンを用意。

 

そのワクチンが効くのかどうかも、動物実験で確かめています。

 

パンデミックが起こりそうな状況になったら、

それをすぐに使えるような状況になっています。

 

それを、インフルエンザだけではなく

他の病原体にも応用したいと鈴木さんは考えています。

 

病気に対する研究は、まさに数の積み重ねなんですね。

 

研究は数の積み重ね」。

 

これを鈴木さんたちは「先回り戦略」と呼んでいます。

 

みなさん、覚えていますか?

冒頭で述べたポイント、忘れてはいませんか?

 

そう、ポイントは「先回り」でしたよね。

 

何を先回りするのか。その答えは、ここから下にあります。

 

この「先回り戦略」というのは…

 

あらかじめ病原体を見つけてそれに対する対策を用意しておく、ということ。

先回りすれば、広がる前に止められますよね。

 

今回の新型コロナウイルス感染症については、

なかなか止めることができずパンデミックも起きてしまい、

今もなおその猛威は衰えることなくここまで来ていますが…

 

良い教訓にはなりましたよね。

 

また同じようなことが起きたときも、「病原体バンク」に

ストックがあれば対処法もわかりますし、

早い時期に流行を止められる可能性もあります。

 

積み重ねだからこそ、もっとたくさんの方と研究した方が効率が良いんです。

 

感染症研究は、現在ネットワークをつくって、東京大学大阪大学

長崎大学、そして北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターで

現在ネットワークをつくって研究を行っています。

 

それぞれの大学にはさらに、いくつかの大学と連携して研究を

行っているので、オールジャパン体制の感染症対策ネットワークになっているんです。

 

そうやって日本の人たち、ひいては世界の人たちを

守ろうとしているわけなんですね。

 

まだまだ努力が足りないので、これからもどんどん研究を

進めていきたいと話す、鈴木定彦さん。

 

パンデミックが起こらない世界が、来ることを願って。

私たちもできることをしっかりと行っていきましょう!

 

 

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

次回もお楽しみに…♪