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カンヌレーベルにも選ばれた!河瀬直美監督の最新作「朝は来る」見どころ徹底解説!

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みなさん、こんばんは。

愛原 夢音です♪

 

今回は、坂本美雨のディアフレンズから。

ゲストは、映画監督の河瀬直美さん。

 

現在公開中の映画「朝が来る」の見どころや撮影方法、

作品の題材になっている特別養子縁組の話までたっぷりと伺います。

 

 

カンヌレーベルに選定された映画「朝が来る」はどんな作品?

 

河瀬直美さんが2010年に立ち上げた、なら国際映画祭が

9月に開催されました。

 

このコロナ禍で、開催しようか悩みましたが開催を決定。

 

4000人の方が来てくださいました。

 

オンラインでの課金やトークショーなどを、

なんと35,000人の方が視聴していたんです!

 

「これからの1つの大きな扉を開いたような気がする」と、河瀬直美さん。

 

国際映画祭なので、実際に足を運ぶことができない人たちも多くいます。

 

その中でも、オンラインという全世界の人たちが同じ場を共有できるしくみは

世界中に仲間を増やしていけるという素晴らしいシステム。

 

なら国際映画祭は、大成功を収めました。

 

河瀬直美さんの最新作「朝が来る」は10月23日に公開になりました。

待ち望んでいた方も多いと思います。

 

ご覧になった方も、いらっしゃるかもしれませんね。

 

この映画も、コロナ禍の影響で公開が延期になっていましたが

このたび、公開することができました。

 

カンヌのレーベル作品にも選出され、日本のみならず

全世界で25ヵ国での公開が決定しました!

 

直木賞作家 辻村深月の原作を映画化!河瀬直美も号泣したストーリーとは

 

人生の中には、とてもとても暗いトンネルがあります

楽しいことばかりが、人生ではありません。

 

つらいことも、悲しいことも、簡単に越えられない壁に

苦しむことだってあると思います。

 

そんな、とても長く暗いトンネルをずっと歩いていても、光は必ずやってくる

 

そういう希望というものを映画を通して

読み取っていただけたら嬉しい、と河瀬直美さん。

 

この映画は、本屋大賞も受賞された直木賞作家の辻村深月さんの

原作を映像化したものです。

 

辻村深月さんの小説を読んだ方はお分かりいただけるかと思うのですが、

辻村深月さんの作品というのは、人生における少しつらいことを

描かれることが多いです。

 

しかし、最後には河瀬直美さん自身も

号泣してしまうほどの感動や光を与えてくれる。

 

それが、辻村深月さんの小説の素晴らしいところなんです。

 

そんな「光」を感じられる辻村深月さんの小説の映画化。

 

この映画は2時間ほどの長さなのですが、

観客を飽きさせないエンターテインメント性は、

どうやら辻村深月さんならではのストーリーラインのようです。

 

映画「朝が来る」のストーリーを、簡単にご紹介します。

 

これは、14歳で子供を妊娠した少女、ひかりと

不妊治療の末に自分たちの子供を授からなかった夫婦の物語

 

14歳の少女ひかりには蒔田彩樹さん、そして夫婦は永作博美さんと井浦新さん。

 

本当に素晴らしい夫婦像で、一見するとみんなが羨ましがるような

夫婦に見えるのですが、実はその夫婦はある問題を抱えています。

 

それは、子供を授かることができないということ。

 

夫婦が抱えている問題の大きな原因は、男性不妊なんです。

 

不妊というと、どうしても女性の問題と捉えられがちですが

女性ばかりではなく男性不妊もあります

 

これが、なかなか知られていない事実です。

 

井浦新さん演じる清和が、子供を授からないのは

自分の精子に問題があると告げられたときの表情や

醸し出される空気感は、井浦新ファンのみならず必見です!

 

特に、不妊治療で悩んでいる方や男性不妊で治療をしている方にとっては、

共感するところが多いかもしれません。

 

男性不妊と判明してからの葛藤を押し殺したかのような苦悩の表情が、

井浦新さんの演技から垣間見ることができます。

 

夫婦とひかり、そしてその赤ちゃんを引き合わせる3人目の母といわれる

NPO法人の代表役を浅田美代子さんが演じています。

 

映画では、3つの立場の人がいるわけですが…

どれも、そのリアルさがとても丁寧に描かれています。

 

ひかりを演じる蒔田彩樹さんは子役から活躍している女優で、経験も豊富。

来年の朝ドラにも出演が決定するなど、今大注目の女優なんです!

 

みなさん、ご存知でしたか?

 

映画「朝が来る」についてはもっと詳しく知りたい方は、

ぜひこちらをチェックしてみてください!↓

 

asagakuru-movie.jp

 

 

「河瀬組」ならではの役づくり リアリティーはここから生まれた!

 

ここからは、映画の撮影での方法について書いていきたいと思います。

 

スタッフの方たちは、永作博美さんのことを「さとこさん」、

井浦新さんは「清和さん」、蒔田彩樹さんを「ひかりさん」と

役名で呼んでいるんです!

 

河瀬直美さん曰く、

 

「俳優というよりも、その役のキャラクターとして扱っている」。

 

撮影現場にあらかじめ住んだり、学校に通ったりする中で

リアリティーがつくられていくのではないか、と河瀬直美さんはいいます。

 

「河瀬組」の役づくりは、地方で合宿をすることが多いのだとか。

 

合宿中は、家に帰ることはできません。

そのため、その役になりきることに集中できるということなんです。

 

永作博美さんと井浦新さんの「夫婦」が特別養子縁組を

行った男の子、6歳の朝斗くん。

 

朝斗くんも、永作博美さん井浦新さん演じる「両親」と

一緒に長い時間を過ごしました。

 

朝斗くんを演じるのは、子役の佐藤令旺(れお)くん。

 

清和とさとこの間で育まれる時間の中から、

自然な表情や言葉を引き出したのだそう。

 

親のことをとても気遣っている表情に、坂本さんも思わず涙。

佐藤令旺くんの演技にも注目ですね。

 

なぜ養子縁組を題材に?河瀬直美監督が映画で伝えたいこと

 

さて、ここからは映画「朝が来る」の題材になっている

特別養子縁組」について書いていきたいと思います。

 

ディアフレンズでは、ちょうど先日里親制度について取り上げたばかりでした。

みなさん、覚えていますか?

 

養育里親を啓発している団体の代表の方とのお話でしたよね。

 

今回は、特別養子縁組が題材。里親とは少し違います

親権」の部分というのが養育里親とは大きく異なる点です。

 

養育里親について気になった方は、コチラをチェックしてみてください!↓

 

jyumeno.hatenablog.com

 

河瀬直美さんが、なぜ養子縁組を題材に選んだのか。

その理由は、河瀬直美さん自身の生い立ちにありました。

 

河瀬直美さん自身が養子として育ったことが、大きく影響していたようです。

 

辻村深月さんの原作を読んだときに、河瀬直美さんは

他人事ではない」 という感情を持ちました。

 

映画をつくるときは、どうしても大人側の視点で描かれることが多いですよね。

 

しかし、今回は違います。

養子縁組をする子供の目線、眼差しをとても大切にしているのです。

 

その子供が見ている世界が「光」だったら、それはもう、とても良い世界ですよね。

ですが、もしその世界が、闇だったら…?

 

子供が大人たちを全く信用できなくなってしまったら、

私たちの人類に未来はない

 

河瀬直美さんは、そう感じたといいます。

 

ニュースで虐待の問題、とりわけ虐待死が取り沙汰されると、

こういう制度を知るにつけ、それは救えるはずの命だったのではないか

河瀬直美さんは考えてしまうといいます。

 

河瀬直美さん自身は、養子縁組や里親については詳しくありません。

 

どこがどう違うのかと聞かれても答えられないので、

そこから勉強しなければならないとも仰っていました。

 

「子供の問題」に関しては、政府が不妊治療の保険適用に向けて

動いていることからも注目が集まっていますよね。

 

日本においては、次の世代の子が生まれないということが

1番の大きな問題だ、と河瀬直美さんは危惧しています。

 

映画の中では難しい社会問題を描いているわけではありません。

 

根本的な人と人とのつながりを描く中で

自分も社会の一員だと思ってもらうことが、重要なのです。

 

役割を持って生かされている

その気持ちを持つことが、今の社会には必要な気がします。

 

映画の中には、印象的なセリフが出てきます。

 

ここには、親になれる人間がいるだろう

 

という、決定的な夫婦の会話があります。

 

そして…

 

浅田美代子さん演じるNPO法人の代表のこのセリフも、印象的です。

 

 

親が子供を探すのではなく、子供が親を探すための制度なんだよ」

 

この言葉に、清和とさとこの考えは変わっていくんですね。

 

1人でもいいから、自分のことだけを見てくれる大人に出会う

それが、子供にとってはとても多いことなんです。

 

子供が家庭を知ることの大切さ、

不妊治療は女性だけの問題ではなく男性の問題でもあるということ…

 

この映画では、そんな大切なことに気づかせてくれる素敵な作品です。

 

みなさんもぜひ、映画を見てみてください!

 

 

映画にも役立つ!?数学的思考

 

森永乳業カフェトーク。ここからは、ゲストの方にもっと

リラックスしていただこうというコーナーです。

 

河瀨直美さんへの質問はコチラ。

 

あまり人に伝えていない趣味や特技はありますか?

 

 

この質問に、思わぬ答えが返ってきました。

 

それは…

 

そろばんが先生もできるくらい段位を持っている ということ。

小さい頃からそろばんは習っていてたそうです。

 

スーパーに行って買い物をしたら、みなさんレジに行きますよね?

その画面には、数字が表示されています。

 

その最初の数字から最後の数字まで計算して、最終的に

何円になるのかというのもわかるそうですから、すごいですよね…。

 

私は、暗算さえも苦手なので羨ましい限りです。

 

数学が得意な河瀬直美さん。実は、映画を制作する際に

この数学的思考がとても役に立っているんです!

 

構成や編集をするときに数式を解く、といったことをしているそう。

 

         a+b×2

 

といったように、1つの感情を導き出す「構成」にも

数学的思考が用いられているんです!

 

河瀬直美さんは、それを絵で認識しています。

 

たとえば…30通りの絵がここにあるとしましょう。

 

その30通りの絵を、入れ替えたりもう1回出してきたり

いろいろな方法でどんな描き方がいいのかを考えていきます。

 

30枚目に辿り着いたとき、どういう感情が残っているか

映画をつくる際には、そういったことを重要視しているそうです。

 

数学って、明確な答えがありますよね。

ですが、その数式にもストーリーがある河瀬直美さんはいいます。

 

よく、「博士の愛した数式」という言葉があるように

数式の美しさということを聞きますが…

 

宇宙やこの世界というものは、とある法則の中で成立している気もしている。

そう、河瀬直美さんは語ります。

 

人々がこれだけの人口を地球上にもたらしたという神秘さ。

 

そして、これからどうなっていくのか先行きが不透明な中で

何かをどこかに導く力というものが働いている

 

それは、現在に至るまでの歴史の中で証明されてきたわけです。

 

「素晴らしい音楽や絵画に魅せられた人たちが

 素晴らしい建築をつくりだすことにも挙げられるように、

 世界の法則みたいなものがある気がする」。

 

そして、私たち人類がこの先も試されているのではないかとも

河瀬直美さんは仰っていました。

 

何気ない質問から、壮大な話に膨らんでいきましたね…。

河瀨直美さんの世界観に、少し触れられた気がします。

 

 

ここまでお読みくださり、ありがとうございました!

次回もお楽しみに…♪