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地球を知りたければアポイ岳に行け!アポイ岳に地球ドラマチックを感じる理由とは

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みなさん、こんばんは。

愛原 夢音です♪

 

今回は、世界のあこがれ〜北海道ブランド〜から。

 

アポイ岳の自然の魅力について、地球科学が専門の

北海道大学総合博物館准教授、山本順司さんを

ゲストに迎え詳しくお話を伺っていきます。

 

 

アポイ岳ってどんな山?

 

日高の様似町にあるアポイ岳

日高山脈の南の端に位置していて、標高はおよそ810メートル。

 

ここにしかいない固有種の宝庫で登山で有名な山ですが、

非常に珍しいかんらん岩の山として世界ジオパークにも登録されています。

 

 

アポイ岳 難易度はどのくらい?

 

そんなアポイ岳ですが、レベル的には誰でも登れるような山なのでしょうか?

 

アポイ岳の標高は、およそ810メートル。

東京スカイツリーが634メートルなので、それよりも少し高いです。

 

東京スカイツリーと札幌駅にあるJRタワー足した高さが、

アポイ岳の標高になります。

 

頂上までは誰でも3時間ほどで登れるような山なので、

難易度はそれほど高くはありません

 

山本さんも学生をアポイ岳に連れていくことはよくあるそうですが、

運動部のような特別な部活をやっていなくても登れるような山だといいます。

 

 

日高山脈はどうやってできた?

 

アポイ岳がある日高山脈

それは、地殻変動によってできたものでした。

 

アジアのプレートと北米プレート、2つのプレートが

ぶつかり合うことによってできたのが、日高山脈だったのです。

 

日高山脈を構成している岩石は、

1400万年前から5000万年前に生まれたもの。

 

そんな遥か昔に誕生したものが現在も残っているというのは、すごいですよね。

神秘を感じます。

 

 

なぜアポイ岳は有名で貴重なのか

 

このアポイ岳、地学の分野では世界的に有名でとても貴重な山なんです!

 

みなさんは、マントルという言葉をご存じですか?

1度は本などで見たことがある方も多いと思いますが…

 

マントルとは、地球下部に広がる層のことをいいます。

 

このマントル、地球内部のどのくらいを占めているか、

みなさんわかりますか?

 

正解は…

 

 

約8割!!

 

 

なんと地球の内部のおよそ84%が、マントルでできているんです!

地球内部にあるマントルを見られるのが、アポイ岳というわけなんですね。

 

地球を知りたければアポイ岳に行け!

 

と言われるほど、アポイ岳地球の鼓動がよくわかる場所なのです。

 

 

見られるはずもないマントルが、なぜ見られるのか

 

本では見たことあるけど、地球内部にあるマントル

目にすることはできないのでは?

 

と思った、そこのあなた!

 

 

そうなんです!

 

マントルは重いので、普通は地上に上がってくることはありません。

つまり、マントルを地上で見られるということは不可能なんです。

 

しかし、このアポイ岳は違います

 

アジアのプレートと北米のプレートが衝突しできた日高山脈

できあがったことで、マントルが地上に露出したのです。

 

このマントルは、地表から2、3メートルといった浅いところにはありません。

もっともっと深いところにあるものです。

 

その深さは、30キロメートル以上

それより浅いところから見える、なんてことは有り得ません。

 

それが、アポイ岳では見えているんです

これは、非常に珍しい場所であるということを示しています。

 

地球の内部が見えるということは、すごいことですよね。

 

 

かんらん岩って、どんな岩?

 

アポイ岳には、かんらん岩という岩石があります。

 

このかんらん岩とは、どんなものなのでしょうか。

 

まず、岩石は鉱物の集合体です。

かんらん岩は、かんらん石という鉱物でてきています。

 

ほとんどの純鉱物が宝石や純宝石として扱われているのです。

つまり、かんらん岩は宝石のような岩石なのです。

 

アポイ岳で採れるかんらん岩は、様似町の幌満地区で採れる

幌満かんらん岩」です。

 

幌満かんらん岩は、国際的な論文にも「幌満ペロタイト」という

名前で掲載されるほど、世界的にも珍しくその希少価値が認められています

 

ペロタイトというのは、かんらん岩を指します。

 

2002年には、かんらん岩の一種であるエルゾライトという

石だけを包括した国際会議が様似町で開催されるなど

アポイ岳のかんらん岩は世界中から注目を集めています。

 

 

世界から注目を浴びるかんらん岩 その理由とは

 

それでは、なぜアポイ岳のかんらん岩は世界的に

注目されるようになったのか

 

その理由は、大きくわけて2つあります。

 

1つ目は、かんらん岩の希少価値が見直されるようになったから。

 

幌満地区にあるかんらん岩は、希少性が高くとてもきれいなものです。

地球内部のマントルが露出している山は、そうそうない。

 

その希少価値が、注目を浴びた理由です。

 

2つ目は、2つのプレートがぶつかったという現象がわかりやすいこと。

 

アジアプレートと北米プレートが衝突して乗り上げたので、

 地球内部のマントルが見えている

 

というストーリーは、複雑ではなく誰でも理解できます。

 

そういった地理的背景も含めて有名になっているのです。

 

 

かんらん岩の特徴とは?

 

ここからは、かんらん岩の特徴について書いていきたいと思います。

 

かんらん石は宝石だと先程お伝えしましたが、

これは緑色をした石です。

 

そんなかんらん岩には、特徴が4つあります。

 

1つ目は、花崗岩(かこうがん)や砂岩などの

周りにみられる岩石よりも比重が大きいこと。

 

つまり、重いということです。

 

2つ目は、溶ける温度が高いということ。

3つ目は、水晶の水分が少ないことです。

 

これらが、石の重さや性質に影響しています。

 

4つ目は、水を含むと軽くなるので

地球の表面に上昇しやすくなるということです。

 

 

ピアスにも!?意外と身近にあるかんらん石

 

みなさんは、「ペリドット」という言葉を聞いたことはありますか?

ペリドットは、実はピアスなどのアクセサリーにも使われているんです。

 

かんらん岩を構成しているかんらん石の宝石名が、「ペリドット

 

みなさんは、ご存知でしたか?

私たちの身近なところにも、かんらん石は存在しているんですね。

 

 

きれいなかんらん石ができる理由

 

 

アポイ岳の環境にも大きく影響を与えている、かんらん岩。

影響を与えているのは、環境だけではありません。

 

地形や気象条件も、大いに関係しています。

 

地形と気象条件が相互作用することにより、

アポイ岳の地形だけでなく植物・動物までもが変化していくのです。

 

どんな岩石で山ができているのかによって、

生える植物も違ってくるということなんですね。

 

 

蛇紋岩ってなに?きれいな緑色のかんらん石ができる秘密とは

 

かんらん岩が地表に向かって上がってくる過程の中で、

かんらん岩は蛇紋岩という岩に変化します。

 

この蛇紋岩は、どういう岩なのか。

 

緑色をしたかんらん石、つまりペリドットですが

それに水が入ったり水が触れたりすると、蛇紋石という

水を含んだ石になります

 

その蛇紋石を含んでいる岩というのが、蛇紋岩です。

 

水が含まれると軽くなるので地球の表面に

上昇しやすくなる、というわけです。

 

 

石の中に水!?かんらん石が別の石に変わるってホント?

 

石の中に水分が含まれるというのは、一体どういうことなのでしょうか?

 

それは、結晶の構造の中に水が入っていくので

ただ単に風化したわけではなく、別の石に変わったということです。

 

水を含んだ石は、言ってみれば粘土みたいなもの

粘土も水を含んだ固物なので、そういうものに変化したのが蛇紋石ということです。

 

普段の生活では、岩や石が何でできているのかということは考えないですよね。

だからこそ、新鮮な感じがします。

 

新鮮な石!?研究者の間で呼ばれる新鮮な石とは

 

突然ですが、みなさん!

 

「新鮮な石」と聞いて、どんなものを思い浮かべますか?

 

 

「石に新鮮もなにもないんじゃないの?」

 

 

と思う方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれませんね。

 

山本さんは、ある石のことを「新鮮な石」と読んでいるそうです。

その石とは、一体どんな石なのでしょうか。

 

それは…

 

 

もともとあった石のまま残っているもの

 

一方で風化してしまった石は、「腐っている」という呼び方をするのだとか。

これは、研究者同士でしか通じない用語なのかもしれません。

 

 

山本さん曰く、

 

石はどんどん変わっていく」。

 

 

状況や環境に合わせて、石はどんどん楽な方に変わっていくのだそうです。

 

 

アポイ岳の最大の特徴 緑色の綺麗な石は変化をしない

 

しかしながら、アポイ岳のかんらん岩は蛇紋岩に

変質することなく、地上に現れています

 

それは、なぜなのか。

 

普通、かんらん岩は地表にいると水に触れてしまうので

どんどん蛇紋石、蛇紋岩へと変化していくのですが…

 

アポイ岳では、それが一切見られないんです!

 

これが、アポイ岳の最大の特徴です。

 

水に触れても蛇紋石や蛇紋岩に変化しないので、

きれいなかんらん岩がたくさん見られるのです。

 

これは、とても珍しいことです。

 

変化する間もなく、盛り上がってできた。

 

そんな日高山脈の影響を受けたアポイ岳

すごいところは、まさにそこにあります。

 

アポイ岳はどんな岩でできているのか、

はたまた2つのプレートがどれくらいのスピードで衝突したのか…など、

 

これまでも、そしてこれからもたくさんの研究者たちが

研究した成果が、アポイ岳や地学の様々な発見を

掘り当てていくのだと思います。

 

 

海外からやってくるアポイ岳のファン

 

海外からも、アポイ岳を研究するため学者が集まってきます。

 

マントルに関する研究をしている人は、たくさんいます。

 

そのため、幌満地区やアポイ岳に行きたいと

願っている人は少なくありません

 

2002年に様似町で行われた国際会議には

世界中の研究者など、多くの人が参加。

 

参加者全員でアポイ岳に登り、

現地でかんらん岩について議論を行ったとのこと。

 

ますます、アポイ岳の魅力に惹き付けられそうです。

 

 

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

次回もアポイ岳の魅力についてたっぷりお届けします!

 

次回もお楽しみに…♪