約束手形と裏書譲渡/割引き
みなさん、こんばんは。
愛原 夢音です♪
今回は、「約束手形」について書いていこうと思います。
今月は資金繰りが苦しい状態のユメノ店。
そこで、代金の支払期日を遅らせるために約束手形を使うことにしました。
手形の裏書譲渡や割引についても、
順を追って説明していきたいと思います。
約束手形とは
約束手形は、一定の日にいくらを支払うという
約束を記載した証券のことです。
掛け取引の場合の支払い期日は取引の日から約1ヵ月後ですが、
約束手形の支払期日は取引の日から2、3か月後に設定することができます。
したがって、代金を掛けとするよりも約束手形を振り出す方が、
支払いを先に延ばすことができるのです。
約束手形を振り出した時
代金の支払い義務は、負債で処理
約束手形を振り出した時は、
後で代金を支払わなければならない義務が生じます。
この約束手形による代金の支払い義務は、支払手形(負債)で処理します。
※支払手形は負債なので、増えたら貸方に記入します。
例題
<取引>
ユメノ店はホワイト店から商品200円を仕入れ、
代金は支払手形を振り出して支払った。
約束手形を振り出すと、代金の支払い義務が生じるので…
仕訳は、
(仕入)200 | (支払手形)200 |
約束手形の代金を支払った時
約束手形の支払期日に手形の代金を支払った時は、
代金の支払い義務がなくなるので支払手形(負債)の減少として処理します。
(支払手形)200 | (当座預金)200 |
となります。
約束手形を受け取った時
代金を受け取る権利は資産で処理
約束手形を受け取った時は、
後で代金を受け取ることができる権利が生じます。
この代金を受け取る権利は、受取手形(資産)として処理します。
※受取手形は資産なので、増えたら借方に記入します。
今日、ユメノ店はカグヤ店に商品300円を売り上げました。
通常、カグヤ店とは掛けで取引をしていますが、
今日はカグヤ店から約束手形を受け取りました。
さあ、この場合、仕訳はどのようになるでしょうか?
例題をみていきましょう。
例題
<取引>
ユメノ店は、カグヤ店に商品300円を売り上げ、約束手形を受け取った。
代金を受け取る権利が生じているので、仕訳は…
(受取手形)300 | (売上)300 |
となります。
約束手形の代金を受け取った時
約束手形の支払期日に手形代金を受け取った時は、
代金を受け取る権利がなくなるので、受取手形(資産)の減少として処理します。
(受取手形)300 | (売上)300 |
となります。
振出人と受取人
約束手形を受け取った人を受取人、または名宛人といいます。
覚えておきましょう。
手形の裏書き
ユメノ店は、ホワイト店から商品を仕入れた時の代金の支払いに、
前にカグヤ店から受け取っていた約束手形を使うことにしました。
さて、どのように仕訳していくのでしょうか?
裏書譲渡で支払いができる!
約束手形を持っている人は、その手形を他の人に渡すことによって
仕入代金や買掛金を支払うことができます。
※約束手形は、手形の支払期日前に渡さなければなりません。
持っている手形を他の人に渡す時に、手形の裏面に名前や日付を記入します。
これを、手形の裏書譲渡といいます。
※単に「裏書き」ということもあります。
約束手形を裏書きして渡した時
ユメノ店は、先にカグヤから受け取っていた約束手形をホワイト店に渡すため、
受取手形(資産)の減少として処理します。
例題を解きながら、仕訳を見ていきましょう。
例題
<取引>7月3日
ユメノ店は、ホワイト店から商品200円を仕入れ、
代金は先にカグヤ店から受け取っていた約束手形を裏書譲渡した。
受け取っていた約束手形をホワイト店に渡すので、
受取手形(資産)は減少します。
よって、仕訳は
となります。
裏書きした約束手形を受け取った時
裏書きした約束手形を受け取った側(ホワイト店)は、
受取手形(資産)の増加として処理します。
したがって、ホワイト店の立場から仕訳すると
(受取手形)200 | (売上)200 |
となります。
ホワイト店の立場からは、ユメノ店に商品200円を売り上げて、
代金はカグヤ店振出の約束手形を裏書譲渡されたことになります。
用語解説
裏書譲渡…持っている手形の裏側に記名などをして、他の人に渡すこと
手形の割引き
支払期日が4か月後の約束手形の代金を、今受け取りたいと考えたユメノ店は、
手形を銀行に持っていって割引き、現金を受け取ることにしました。
ここでは、手形の割引気について考えていきましょう。
割引き=手形を銀行に買ってもらうこと
約束手形を持っている人は、支払期日前にその手形を銀行に
買い取ってもらうことができます。
これを、手形の割り引きといいます。
手形を割り引くことによって、
手形の支払期日よりも前に現金などを受け取ることができます。
しかし利息や手数料がかかるため、
受け取る金額は手形に記載された金額よりも少なくなります。
この利息や手数料は割引きにかかる費用なので、割引料といいます。
約束手形を割り引いた時
ユメノ店は、先に受け取っていた約束手形を銀行に売るために割り引きました。
そのため、受取手形(資産)の減少として処理します。
また、手形を割り引く際にかかった手数料は、
手形売却損という費用の勘定科目で処理します。
※~損 は費用の勘定科目でしたね。
ここまでの知識を使って、例題を解いてみましょう。
例題
<取引>7月20日
ユメノ店は先にカグヤ店から受け取っていた約束手形200円を割り引き、
割引料20円を差し引いた残額を当座預金に預け入れた。
まずは、
という仕訳になりますね。
次に、手形の割り引きにかかった手数料は手形売却損で処理するので
という仕訳になります。
受け取る金額は、
約束手形の金額から手数料を差し引いた180円(200-20円)になります。
なので、仕訳は…
となりますね。
※200円の約束手形を180円で銀行に売った(割り引いた)ことになるので、
20円だけ損をしたことになります。
ですから、差し引かれた割引料20円は「手形売却損」で処理します。