小口現金
みなさん、こんばんは。
愛原 夢音です♪
今回は、「小口現金」について書いていこうと思います。
ユメノ店は盗難防止のため、受けとった現金は全て
当座預金口座に預け入れています。
しかし、電車代や文房具費の細かい支払いは日々生じているため、
少額の現金を手許(てもと)に残し小口現金として管理することにしました。
小口現金はどうやって仕訳をすればいいのか、みていきましょう♪
小口現金とは
企業の規模が大きくなると、経理部や営業部などの部署が設けられます。
お金の管理は経理部で行われていますが、
営業部の社員が取引先に行くための電車代を支払ったり、
事務で必要な文房具を買うために、
いちいち経理部に現金をもらいに行くのは面倒ですよね…?
そこで、通常は日々生じる細かい支払いに備えて
各部署や各課に少額の現金を手渡しておきます。
この少額の現金のことを小口現金といいます。
また、各部署や各課で小口現金を管理する人のことを、小口現金係といいます。
お店全体のお金を管理して取引を仕訳する人は会計係といいます。
部署でいうと、経理部ですね。
定額資金前渡法(インプレスと・システム)
会計係は、一定期間(1週間や1ヵ月)後に
小口現金係から何にいくら使ったかの報告を受けます。
そして、使った分だけ小口現金を補給します。
このように、一定の小口現金を前渡ししておくシステムを
定額資金前渡法(インプレスト・システム)といいます。
小口現金を前渡しした時
小口現金は現金の一種なので、資産になります。
したがって、小口現金を前渡しした時は小口現金(資産)の増加として処理します。
例題
<取引>6月2日
ユメノ店では定額資金前渡法を採用し、
小口現金600円を小切手を振り出して小口現金係に渡した。
小口現金を前渡しした時は、
小口現金(資産)の増加として処理するので…
仕訳は、
(小口現金)600 | (当座預金)600 |
用語解説
定額資金前渡法…一定の金額の現金を小口現金係に前渡ししておく方法
小口現金…日々の細かい支払いのために手許においておく少額の現金
小口現金係が小口現金で支払った時
小口現金係が小口現金で支払いをしたとしても、
小口現金係が帳簿に仕訳をするわけではありません。
帳簿に仕訳をするのは、会計係です。
したがって、小口現金係が小口現金で支払った時は
なんの仕訳もしません。
※帳簿に記録をするのはあくまでも、会計係(経理部)です。
小口現金係はメモに残しておき、後で会計係に報告します。
この知識を使って、例題を解いてみましょう。
例題
<取引>6月4日
小口現金係が、文房具代(消耗品費)200円と
お茶菓子代(雑費)300円を小口現金で支払った。
仕訳は…
(仕訳なし) |
になりますね。
用語解説
消耗品費…ボールペンやコピー用紙など、一度使うとなくなってしまうもの
雑費…どの勘定科目にも当てはまらない、少額で重要性の低い費用
会計係が小口現金係から支払い報告を受けた時
先程も述べましたが、
会計係は、小口現金係から一定期間(1週間や1ヵ月)に使った
小口現金の金額とその内容の報告を受けて、仕訳をします。
この時点で会計係に支払いの内容が伝わるので、
会計係が仕訳を行うのです。
それでは、例題で詳しい仕訳のしかたをみていきましょう。
例題
<取引>6月6日
小口現金係から、文房具代(消耗品費)200円と
お茶菓子代(雑費)300円を小口現金で支払ったという報告を受けた。
なお、小口現金係に前渡ししている金額は700円である。
消耗品費200円と雑費300円に小口現金を使っているので、
小口現金500円(200+300円)を減らすとともに、消耗品費と雑費を計上します。
よって、仕訳は
(消耗品費)200 | (小口現金)500 |
(雑 費)300 |
となります。
※~費 とつくのは、費用の勘定科目でしたね。
会計係が小口現金を補給した時
会計係が小口現金を補給した時は、
どのように仕訳をすれば良いのでしょうか?
例題を解きながら、一緒に考えていきましょう♪
例題
<取引> 6月10日
先週の小口現金係の支払い報告に基づいて、
小口現金500円を小切手を振り出して補給した。
なお、ユメノ店では定額資金前渡法を採用しており、
小口現金として700円を前渡ししている。
定額資金前渡法では、使った分(500円)だけ小口現金を補給します。
したがって、補給分だけ小口現金(資産)の増加として処理します。
よって、仕訳は
(小口現金)500 | (当座預金)500 |
となります。
※使った分(500円)だけ補給することにより、定額(700円)に戻ります。
支払い報告と小口現金の補給が同時の場合
小口現金の補給は、支払い報告を受けた時に直ちに行うこともあります。
※金曜日に報告を受けた場合、金曜日に補給するというケースですね。
このように、支払い報告と小口現金の補給が同時の場合は、
①支払い報告時の仕訳
②補給時の仕訳
の2つをまとめて行います。
①支払い報告時の仕訳
まず、支払い報告時です。
例題の仕訳をもとに説明していきます。
支払い報告時は、以下のような仕訳でしたね。
(消耗品費)200 | (小口現金)500 |
(雑 費)300 |
+
②補給時の仕訳
次に、補給時の仕訳です。
(小口現金)500 | (当座預金)500 |
③支払い報告と補給が同時の場合の仕訳
①と②を足したものが、支払い報告と補給が同時の場合の仕訳になります。
よって、
(消耗品費)200 | (当座預金)500 |
(雑 費)300 |
となります。
※①の貸方の小口現金と②の借方の小口現金は、相殺されて消えます。