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新型コロナで注目される感染症研究「人獣共通感染症」って何?北海道大学が行っている感染症研究とは

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みなさん、こんばんは。

愛原 夢音です♪

 

今回は、世界のあこがれ〜北海道ブランド〜から。

今回お伝えするテーマは、北海道大学人獣共通感染症研究。

 

新型コロナウイルスの感染拡大で注目されているのが、感染症研究です。

北海道大学では以前から、人獣共通感染症リサーチセンターを学内に設置。

 

世界でも珍しい研究と教育の組織として高い評価を受けています。

 

人獣共通感染症」とは何なのか研究はどこまで進んでいるのか

私たちの暮らしとどのようにつながっているのかについて、

北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターのセンター長、

鈴木定彦さんに伺います。

 

今回のポイントは、100円

 

さて、この100円という値段。一体何の値段なのでしょうか?

みなさんも、一緒に考えてみてくださいね。

 

その答えは、この記事の後半でお伝えします。

 

 

 

結核は昔の病気」は大きな間違い!

 

ゲストの鈴木さんは、結核をメインに研究されています。

この結核という病気、どのようなものかみなさんはわかりますか?

 

昔は「不治の病」と言われた肺の病気という

イメージを持っている方が多いと思います。

 

昔は不治の病って言われていたけど、今はそうでもないんでしょ?

 結核なんてほとんど聞かないし…

 

と思っている、そこのあなた!

 

 

それ、間違ってます!

 

 

というのも…

 

全世界で年間1000万人もの新規感染者を出しているのが

結核だからなんです。

 

そして、そのうちの150万人が結核によって命を落としています

 

私もてっきり、結核は昔の病気で今罹患している人は

ほとんどいないものだと思っていました。

 

世界では、現在も結核で苦しんでいる人がたくさんいるということなんですね。

 

それでは、日本で結核によって亡くなる方は

年間でどのくらいいると思いますか?

 

正解は…

 

2000人以上!!

 

 

去年は、2088人が結核で亡くなりました。

 

結核による新規感染者は1万4600人ほど。

致死率は14%を超えています。

 

結核は、「たまに新聞で記事を見かけるな」としか

考えていなかったので、私自身かなり驚いています。

 

人獣共通感染症ってなに?

 

さて、みなさん。

ずっと疑問に思っていることはありませんか?

 

 

人獣共通感染症って何?

 

と思った方がほとんどだと思います。

 

ここからは、人獣共通感染症について書いていきたいと思います。

 

人獣共通感染症とは、名前のとおり

人と獣の間を行き来する感染症のことです。

 

ところが…

 

人獣共通感染症の多くは、

獣の中では病気を起こすことは少ないんです。

 

獣の中に潜んでいるんですね。

 

それでは、獣に潜んでいるウイルスがなぜ人に感染してしまうのか

それには、環境の変化が大きく関係しています。

 

アフリカや東南アジアなどで森林が切り開かれると、

野生動物の居場所がなくなってしまいますよね。

 

そうなると、野生動物は人里におりてきてしまいます

 

人間界や家畜に、野生動物が急接近してくるのです。

 

野生動物が持っているウイルスがまず家畜に感染し、

家畜から人へと感染していきます。

 

しかも、それだけではありません。

 

野生動物の肉を食べただけでも感染してしまいます。

 

こういった形で、獣から人に感染するというのが人獣共通感染症なのです。

 

この感染症の怖いところは、獣は大丈夫だった菌やウイルスでも

人間が感染すると大変なものになるかもしれない、ということです。

 

人獣共通感染症についてわかったところで…

ここからは人獣共通感染症の現状についてお伝えします。

 

今流行している新型コロナウイルス中東呼吸器症候群(MARS)

アフリカで大流行したエボラ出血熱など…

 

これらは全て、人獣共通感染症です。

 

エボラ出血熱では、1万人以上が命を落としました。

インフルエンザ自体も、もともとは人獣共通感染症です。

 

 

病原体を研究することが感染症予防につながる

 

北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターは、

今から15年前の2005年4月に設置されました。

 

具体的にどんなことを行っている組織なのかというと…

 

まず、野生動物や家畜から検体を採取します。

 

検体の中には当然のことながら、病原体が存在します。

その病原体にはどのような性質があるのかを調べます。

 

これらを行っているのが、

北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターなんです。

 

病原体を検体から見つけたら、

どのように病原体が病気を起こすのかを調べていきます。

 

さらに病原体の遺伝子を調べ、治療薬や診断薬をつくるための

データを蓄積したりといった研究も日々行っています。

 

病原体を世界から集めることからはじまって、最終的には研究の末

治療や薬にまで範囲を広げて研究をしているというわけですね。

 

北海道でも発見されたダニ媒介性脳炎  

 

病原体を集めることからはじめる、感染症研究。

国内ではどのようなところで調査を行っているのでしょうか?

 

1番近いところでは、北海道内でダニを調査しているのだそう。

 

ダニが媒介して起こす、ダニ媒介性脳炎

 

ニュースにもなったのでご存知の方も多いと思いますが、

これは北海道でも確認されました

 

そのため、ダニを捕まえてウイルスを発見して

感染を防ぐための研究も行われているようです。

 

海外での調査 行くだけで1日かかる!?

 

海外でも、調査は行っています。

ブラジルやキューバにも行っているのだとか。

 

現在力を入れているのが、東南アジアです。

人獣共通感染症が起こりそうなところを中心に、調査が行われています。

 

それにしても、ブラジルやキューバは遠いですね…。

 

アフリカへ調査に行った場合、札幌からザンビアまでと

いうことになりますが、乗り継ぎも含めると

合計で26、27時間にもなるというから驚きです。

 

行くだけで、1日かかってしまいますね

ブラジルも、同じくらいの時間がかかってしまうそうです。

 

そういったところに行って、

動物や媒介昆虫などの調査を行っているのだそう。

 

世界的にも珍しい!トップを誇る北海道大学内の組織

 

北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターのような組織は、

世界的にみてもあまりない組織のようです。

 

感染症に関しての機関は、世界中にたくさんあります。

日本にも、国立感染症研究所がありますよね。

 

大学でいえば、東京大学大阪大学長崎大学などが

拠点大学となり研究を行っています。

 

しかし!

 

 

人獣共通感染症に特化した研究施設があるのは、北海道大学だけなんです!

しかも、トップの方にあるということなので、すごいですよね。

 

なぜザンビアに?アフリカに研究拠点を置いた理由

 

海外に目を向けると…

 

北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターには、

研究拠点がアフリカのザンビアに設けられています。

 

この拠点が設けられたのは、2007年。

 

ザンビア大学の獣医学部に、北海道大学獣医学部出身の方が

中心となって鈴木さんたちと一緒に研究をはじめたのだとか。

 

その方はすぐにザンビア大学の獣医学部長に就任し、

北海道大学との共同研究を大いに盛り上げてくれているのだそう。

 

ザンビア大学獣医大学をつくった1番のメインアプターは

北海道大学獣医学部で、35年以上一緒に研究を行っているという

長い歴史のつながりがあります。

 

ザンビア大学獣医学部の教員の多くは、日本で学位を取得

学位というのは、博士号です。

 

博士号を取得し、ザンビアに帰って獣医学部で研究を行っているのです。

 

日本で学位を取っている教員が多いので、

日本のことは当然、よくわかっています。

 

ザンビアという国には、エボラウイルス病の

アウトブレイクが起こった国がたくさんあります

 

周辺では、いろいろな感染症が起こっているのも事実です。

 

そんなザンビアに研究拠点を置いたのはなぜか

その理由は、3つあります。

 

まず1つ目は、ザンビア国の状況が非常に安全であるということです。

 

2つ目の理由は、ザンビアにいれば野生動物の行動を

モニタリングできるということです。

 

コウモリなどの野生動物は、国境を越えてやってきます。

 

ザンビアにいれば、その行動もしっかり

モニタリングできるというわけなんですね。

 

3つ目は、北海道大学ザンビア大学との長い歴史です。

これが、非常に重要な役割をしています。

 

そういったザンビア大学と北海道大学の長い付き合いの

歴史だけでなく、アフリカ大陸の位置的にも研究に向いているため、

アフリカのザンビアに研究拠点を置いている、ということなんですね。

 

100円があなたを救う 開発された検査キット

 

ここからは、センターのホームページについて書いていきたいと思います。

 

その前に…

 

みなさん、覚えてますか?

 

冒頭でお伝えしたポイント。

 

 

そう、100円です。

 

ここからは100円が何の値段なのか、

考えながら読み進めていってくださいね。

 

アフリカの感染症と闘う、「100円検査キット」というものが

ホームページには載っていましたが、これはどのようなものなのでしょうか?

 

日本では、少し高くてもお金を払って検査することができますよね。

 

ですが、アフリカや東南アジアでは高いお金を払うことが

できない人が多く、検査を受けることができません

 

そこで、鈴木さんたちは100円で検査ができる方法を確立しました。

 

たとえば、新型コロナウイルス感染症の場合はPCR検査が行われます。

 

PCR検査には、機械が必要です。

しかも、電気が安定していないと検査することはできません

 

そうなってしまうと、アフリカや東南アジアの地域では

検査することが難しくなってしまいます。

 

しかし!

 

この100円検査キットは、PCRのような機械が不要なんです。

重要なのは、まさにここなんです!

 

ほんの小さな、手のひらに乗るような機械の上で反応することができるんです。

 

1番大切なのは、値段が100円でできるということ。

途上国の人たちも、安心して検査を受けられます。

 

検査が受けられるということは、原因がわかって

治療が受けられるということですよね。

 

そういった治療法や検査が確立していても、

受けられる状況になければ意味がなくなってしまいますからね…。

 

結核の治療費が無料な理由

 

結核について言うと…

結核という診断が下ると、治療費は無料になります。

 

なぜ無料なのかというと、

 

診断を受けるときにお金がかかってしまうと、

診断も治療も受けられなくなってしまいます。

 

治療を受けないと、当然どんどん悪化していきますよね。

 

それと、もう1つ。

 

危惧されていることは、治療を受けずに悪化してしまった結果

外に出す菌の数が増えてしまうということです。

 

ウイルスや菌の数が増えると、

人から人へ感染するリスクが非常に高まります

 

しかし早期に診断すれば、感染リスクも抑えられます

 

逆に言うと、早期に診断しなければ

悪循環に陥ってしまう…ということなんです。

 

「検査が高いから受けられない」となってしまうと、

感染を広げる原因をつくってしまうことになる。

 

それを防止するためにも、100円でも診断できるキットというのを

目指してつくったということなんです。

 

みなさん、もうわかりましたよね。

今回のポイント、100円という値段は検査を受けられる値段でした。

 

 

みなさんの予想は当たりましたか?

 

 

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

 

次回は、引き続き北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターが

行っている新型コロナウイルス感染症の研究などについてお伝えします。

 

次回も、お楽しみに…♪