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北海道盲導犬協会って何をしているところ?北海道盲導犬協会の設立の経緯とは

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みなさん、こんばんは。

愛原 夢音です♪

 

今回は、世界のあこがれ〜北海道ブランド〜から。

テーマは、北海道の盲導犬

 

北海道で盲導犬の育成を手がける北海道盲導犬協会は、

国内3番目に設立された盲導犬協会で、

特に冬季間の訓練や育成技術は高い評価を受けています。

 

今回は北海道盲導犬協会設立の経緯などについて、

北海道盲導犬協会の井内憲次さんに伺います。

 

 

ポイントは、

 

共同作業

 

さて、何を共同で作業するのでしょうか?

 

みなさんも、一緒に考えてみましょう!

 

 

北海道盲導犬協会とは?

 

 

北海道盲導犬協会は、視覚障害者の方のために盲導犬を育成しています。

また、掃除や洗濯、調理や食事といった生活訓練や日常訓練も行っています。

 

さらに、パソコンの操作方法も担当の指導員が教えています。

 

盲導犬」と聞くと、どうしても外を一緒に歩いている姿を

真っ先に思い浮かべますが…

 

でかけるときだけではなく、いろいろな生活の場で指導や

サポートをしているんですね。

 

北海道盲導犬協会はいつできた?きっかけはボランティア活動

 

北海道盲導犬協会の活動のはじまりは、昭和45年(1970年)1月頃。

 

本州では、盲導犬というものがいるらしい」。

 

そんなニュースが、井内さんの耳に飛び込んできました。

 

視覚障害者のためのボランティア活動をしている若者たちが

主体となって盲導犬の育成に力を入れている、という

情報が入ってきたのです。

 

それを聞いた井内さんは、

 

「北海道にも盲導犬を1頭入れたい」

 

という気持ちを強くし、募金活動やチラシ配りをするなど

啓蒙活動をはじめました。

 

これが、北海道盲導犬協会をはじめたきっかけでした。

 

今から、50年前の1月のことです。

 

そこからスタートして、実際に協会を設立したのは

昭和45年(1970年)の11月8日のこと。

 

1月からスタートした活動ですが、11月8日に至るまで話はトントン拍子に進み…

 

盲導犬の訓練をしていた方が1人、井内さんと東京から一緒に北海道へ移住。

そして、その事業に参画したわけです。

 

それが同年の7月26日のこと。そこから今に至る、ということなんです。

 

50年前に「盲導犬協会をつくろう」という動きがあって、

井内さんは東京から来た側だったんですね。

 

しかしながら…

 

同年1月に「こういうのがあったらいいね」からスタートして、

1年もかからずに設立できたのは、時代の流れが

よかったからだ、と井内さんはいいます。

 

時代の流れがよかったとはいえ、その活動に賛同して

協力してくれる人がいなければ、元も子もありません。

 

1年経たずにできた盲導犬協会 どうして北海道ではこんなに早くできたのか 

 

周りでも「盲導犬協会をつくろう」という声に同調してくれた方が

多かったということなのでしょうか?

 

井内さんが北海道に来て、まず最初に感じたのは

 

「もう、すごいウェルカムだった」ということ。

 

これは一体、どういうことなのかというと…

 

北海道に来たとき、井内さんが感じたことは、

北海道の人たちの温かい声や気持ちでした。

 

それらが、とても心に響いたといいます。

 

これはひとえに、「人」。

 

関わってくださった方々が、真剣に耳を傾けて関わって

くださったことに感動したそうなんです。

 

北海道に来て1番驚いたのは、下宿先のおばさんに

言われた言葉だといいます。

 

その言葉とは…

 

 

お兄ちゃん、これ美味しいから食べな」。

 

 

「えっ?これの何が驚きなの?」と思った方、いらっしゃいますよね?

 

特に北海道にお住まいの方は、「ふつうじゃん」と

思う方もいらっしゃるかもしれません。

 

しかし…

 

「美味しいから食べな」という言葉は、井内さんが生まれた

地元では有り得ないことだったんです!

 

そう温かい言葉をかけてくれる人が、下宿先の周りにはたくさんいたのだとか。

 

たとえば…

 

視覚障害者の人のためにいいなら、増やそう!」

「良いから、つくりなさい!」

 

背中を押してもらったり、鼓舞されたり

 

これらは、「美味しいから食べな」という言葉と

共通しているように思う、と井内さん。

 

つまり…裏がないんです

 

厳しい自然環境で育った人たちが周りにはたくさんいて、

同じような経験をしているからこそ、大変なことや痛みというのが

よくわかるのではないか。

 

だからこんなに早く、何の力もない若者の力が結集して

こんな風に大きくなっていくんだ、と井内さんは感じました。

 

何のしがらみもなく、

 

良いものだから広めよう

美味しいからみんなで食べよう」といったその精神が、

北海道民らしさなのかもしれませんね。

 

視覚障害者は通勤するのも一苦労…本州と北海道での通勤の決定的な違い

 

その「北海道らしさ」は行政にも現れていました

 

実は…

 

当時、盲導犬の訓練を受けて盲導犬を使っている視覚障害者の方は

市営バスや地下鉄に許可証がなくても乗車できたんです!

 

驚きですよね!

 

一方の本州では…

 

「〇月〇日〇時〇分のバスに乗車します」と、乗車するたびに

申請書を出さなければならなかったんです。

 

これは非常に面倒…!通勤はとても大変だったと思います。

 

北海道の行政の人たちは、「これは良いことだから、やろう!」と

盲導犬を連れている視覚障害者のある方には申請書の提出を求めず、

許可証がなくても乗車できるようになっていました。

 

ここが、本州と違うところ。そして、現在に至ります。

 

「人が全て」と井内さんは話します。

 

現役盲導犬の数はどのくらい?

 

現在北海道盲導犬協会が送り出して、

現役で活躍している盲導犬本州も含めて76頭

 

すごいたくさんいるんですね…!

 

北海道の盲導犬協会の学校を今までに

卒業したのは550頭以上と、かなりの頭数です。

 

50年かけて550頭以上なので、年に10頭ほどということになります。

 

 

盲導犬の仕事内容 ポイントは「共同作業」

 

それでは、ここからは盲導犬の仕事について書いていきたいと思います。

 

その前に…冒頭でお伝えしたポイント、みなさん覚えていますか?

そう、共同作業です。

 

何を共同で作業するのかを、みなさんも一緒に考えてみてださいね。

 

 

盲導犬の仕事。これは、本質的には共同作業です。

 

車の運転にたとえると、運転手が盲導犬のユーザー、

車が盲導犬ということになります。

 

これはみなさん、なんとなくお分かりいただけるかと思いますが…

 

盲導犬「ここに行ってくれ」と言っても

その場所に行くことはできないんです。

 

「それなら、どうやって行くの?」と不思議に思う方もいらっしゃいますよね。

 

盲導犬は、目的地への道順を教えてはくれない

 

どうすれば目的地にたどり着けるのか。

それには、盲導犬を使う視覚障害者の方が頭の中に地図を描く必要があります。

 

たとえば、

 

「今日は北一条の時計台のところに行きたい」

 

と思ったら、利用する交通機関がバスであれ地下鉄であれ、

それを降りてからの道順を頭の中に入れておかなければいけないんです。

 

主人から「前へ進みなさい」という指示が出れば、

盲導犬は次の交差点まで真っ直ぐ進んでいきます。

 

その間、匂いを取ったり他の人についていくということはできません。

 

盲導犬の3つの仕事 果たされる重要な役割

 

盲導犬の仕事は、3つあります。

 

まず1つ目は交差点から交差点までの道のりを

安全に歩いて交差点の前で止まること。

 

主人をものにぶつけたり、つまずかせたりしないように

配慮しながら交差点までの道を移動します。

 

2つ目は、誘導するということ。 

 

地下鉄には、ドアや階段、エレベーターやエスカレーターがありますよね。

 

そういうシーンに対して、その場所まで誘導することを

訓練の段階で行っています。

 

そこで初めて、盲導犬が交差点から交差点まで自主的に行って

止まっていたところから、ドア、バスの前などで主人の指示に

反応してそこへ誘導することができるようになっていくんです。

 

まとめると…

 

盲導犬の仕事は、交差点まで安全に主人を連れていくこと、

そして主人の指示に従って誘導すること。

 

とても大切な仕事ですね。

 

 

危ない!主人を危険に遭わせるな!ストッパーにもなる盲導犬

 

そして、もう1つ大事な役割が盲導犬にはあります。

それは、ストッパーの役割です。

 

なぜストッパーなのかというと、実は…

 

信号が赤の状態で号令を出してしまう、など

主人が訓練を受けていても判断を誤ることがあるんです。

 

信号が赤の状態は、当然車が左右から走っているわけですから、

非常に危険です。

 

そういうときは、盲導犬がストッパーの役割を果たします。

 

主人が間違ったり危険な判断を行ったときに盲導犬がカバーする、

ストッパーの仕事もしてくれる、ということなんです。

 

盲導犬の訓練内容と方法、訓練期間

 

それでは、訓練は具体的にどういったことをしているのでしょうか?

 

訓練の技術や方法は、世界的にも徐々に変化してきています、

 

どんなふうに変化しているのかというと…

 

今までは、盲導犬どういうふうにコントロールするかというのが

訓練技術のポイントだったのですが、最近はそれが変わりつつあります。

 

どうコントロールするかというよりも、コントロールしなくて

いい対応をどうやってやっていくかというシステムになっているので、

犬がものを考えながら覚えていくという方法を取っています。

 

盲導犬の賢さの秘密は、ここにあったんですね。

 

訓練の方法は施設ごとに異なりますが、強い叱責は抑えて

犬のストレスがない状態で訓練できたら、という考えのもとに

訓練を行っています。

 

訓練の期間は、約7ヵ月。

 

訓練期間は長ければ長いほど確実な作業につながりますが、

次の新しい主人との兼ね合いもあるので長すぎてもいけません。

 

そのため、生後1年の犬を7ヵ月ほど訓練させます。

 

時間にして、120時間。

 

その時間で、一通りの盲導犬の作業を記憶させています。

 

犬のストレスを極力減らす 個性を見極めた訓練 

 

訓練において教える側として難しい点は、

一体どんなところなのでしょうか?

 

人間と同じく、犬にもそれぞれ個性があります

 

1頭1頭性格が違うので、いくらカリキュラムが

できあがっているからといって、その通りやって全てを

マスターしていくというわけではありません

 

そのため、それぞれの犬を観察しながら

 

「どの科目をどういうふうにして入れたら、

 1番ストレスのない形で受け入れてくれるか」

 

ということを考えて訓練しています。

 

 

1人の指導員が担当するのは、だいたい5頭前後。

それらの犬を7ヶ月かけて盲導犬候補生までレベルを上げていきます。

 

また、盲導犬の健康管理にも力を注いでいます。

 

健康管理も大事!盲導犬の健康管理の態勢

 

まず、北海道盲導犬協会として訓練前の評価の段階で

全頭の目の検査をします。

 

視覚障害者の方の目となり杖となるわけですから、視力はとても重要です。

 

この目の検査をはじめたのは10年前

 

もともとは、視力に関してさほど気にしていなかったのですが

将来視覚に異常があると主人を危険にさらしてしまう可能性があるわけです。

 

そこで、目の検査をすることに。

 

視覚に異常があるということが前もってわかれば、

 

「この子は候補生から外そう」

 

ということができ、主人を危険にさらすことは避けられます

 

目の検査だけではなく、一般的な予防接種や血液検査も実施。

ここで重要となるのが、レントゲンの骨格検査です。

 

普通に歩いてチェックするのときちんとレントゲンを撮って

チェックするのとでは、まるで違います。

 

レントゲンでチェックすると…

 

股関節のはまり具合が非常に弱く、

歩行にも影響してくるということもわかるのだとか。

 

しかも、5~6年経つとその可能性は出てくるそうなので

レントゲンのチェックもしっかりと行っているのだそうです。

 

さて…ここまで見てきましたが、

 

今回のポイントは共同作業、でしたよね。

 

盲導犬とユーザーが常に一緒にいて、信頼と努力の上に

よりよい関係性を築いているからこそ共同作業ができる、というわけなんです。

 

いかがでしたか?

 何を共同で作業するのか、もうお分かりいただけましたよね。

 

盲導犬と歩いている方を見かけたことは、私は数えるほどしかありません。

 

それは当然外出中の様子を見かけたわけですが、

それはほんの一部の姿でしかないんです。

 

もし、盲導犬視覚障害者の方を見かけたら…

そっと見守ってあげましょう。

 

 

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

次回も、盲導犬についてお伝えします!

 

次回も、お楽しみに…♪