立替金と預り金
みなさん、こんばんは。
愛原 夢音です♪
今回は、「立替金と預り金」についてです。
ユメノ店は、ホワイト店で買った200円の商品を
店まで配送してもらうことにしました。
このときにかかった配送費用20円はホワイト店が負担することになっていますが、
ユメノ店が一時的に立て替えました。
この時の仕訳は、どのようになるでしょうか?
仕入諸掛りを建て替えた時(先方負担)
商品を仕入れるときにかかった仕入諸掛りを当店(ユメノ店)が負担する場合は、
仕入原価に含めて処理します。
しかし、先方(ホワイト店)が負担すべき仕入諸掛りを当店が立て替えた場合は
立替金(資産)として処理します。
立て替えた金額は、後で先方(ホワイト店)に返してもらうことができます。
「後で返してもらえる権利」なので、立替金は資産になります。
さあ、ここまでの知識を使って例題を解いてみましょう。
例題
<取引>
ユメノ店は、ホワイト店から商品200円を仕入れ、代金は掛けとした。
なお、引取運賃(先方負担)20円を現金で支払った。
仕訳は、
(仕入)200 | (買掛金)200 |
(立替金)20 | (現金)20 |
となります。
用語解説
先方負担…先方が負担する費用
立替金で処理せず買掛金を減額する方法もありますが、
試験ではあまり出題されないので参考程度に読んでおいてください。
買掛金を減額する方法で、先程の例題を仕訳をすると…
(仕入)200 | (買掛金)180 |
(現金)20 |
となります。
200円-20円=180円 |
【重要】仕入諸掛りの処理 まとめ
仕入諸掛りの処理をまとめると、次のようになります。
試験で出題されるのは、当店負担がほとんどです。
誰が負担するかの指示がない時は、全て当店負担と考えて処理するようにしましょう。
売上諸掛りを建て替えた時(先方負担)
ユメノ店は、カグヤ店に商品を売り上げ、その商品を配送しました。
このときにかかった配送費用20円はカグヤ店が負担することになっていますが、
ユメノ店が一時的に立て替えました。
この場合、仕訳はどのようになるでしょうか?
商品を売り上げるときにかかった売上諸掛りを当店が負担する場合は、
発送費(費用)として処理します。
忘れてしまった人は、下の記事で復習しておきましょう。
しかし、先方(カグヤ店)が負担すべき売上諸掛りを当店が立て替えた場合は、
立替金(資産)として処理します。
例題を解きながら、一緒に考えていきましょう。
例題
<取引>
ユメノ店は、カグヤ店へ商品250円を売り上げ、代金は掛けとした。
なお、発送運賃(先方負担)20円を現金で支払った。
まずは、
(売掛金)250 | (売上)250 |
(現金)20 | |
という仕訳になりますね。
次に、売上諸掛りを当店が立て替えたので立替金(資産)で処理していきます。
よって、仕訳は…
(売掛金)250 | (売上)250 |
(立替金)20 | (現金)20 |
となります。
売掛金も立替金も、ともに「後で先方から代金を受け取ることができる権利」なので
立替金を売掛金に含めて処理することもあります。
(売掛金)270 | (売上)250 |
(現金)20 |
250円+20円=270円 |
【重要】売上諸掛りの処理 まとめ
売上諸掛りの処理をまとめると、次のようになります。
試験では、使用できる勘定科目一覧が与えられます。
その勘定科目一覧に立替金がなければ、売掛金に含める方法を使いましょう。
従業員が支払う金額を店が立て替えた時
ユメノ店は、本来従業員のアメリちゃんが支払うべき個人の生命保険料を
現金で立て替えました。
この時、どのような仕訳になるでしょうか?
本来従業員が支払うべき金額を店(会社)が
立て替えた時は、後で従業員からその金額を返してもらう権利が生じます。
したがって、立替金(資産)として処理します。
※従業員に対する立替金は、
「従業員立替金」という勘定科目で処理することもあります。
例題を解きながら、一緒に考えていきましょう。
例題
<取引>
ユメノ店は従業員が負担すべき生命保険料50円を、現金で立て替えた。
まず、現金で立て替えているので店の現金は減少します、
したがって、
( ) | (現金)50 |
という仕訳になりますね。
次に、立替金(資産)で処理するので…
(立替金)50 | (現金)50 |
となりますね。
従業員に給料を支払った時
今日は給料日です。
従業員のアメリちゃんに支払うべき給料は1,000円ですが、
先にアメリちゃんのために立て替えた金額50円があるので、
それを差し引いた残額を現金で支払いました。
この時、仕訳はどうなるでしょうか?
給料(費用)で処理
従業員に給料を支払った時は、給料(費用)で処理します。
従業員が働いてくれるおかげで店の売上げが上がるので、
給料は収益を上げるために必要な支出=費用になります。
また、従業員に対する立替金を差し引いているので
立替金(資産)を減らし、残額を現金(資産)の減少として処理します。
例題を解きながら、一緒に考えていきましょう。
例題
<取引>
従業員に支払う給料円のうち、1,000円のうち
先に立て替えた50円を差し引いた残額を現金で支払った。
立替金(資産)を減らして
残額1,000円=950円を現金(資産)の減少として処理するので…
(給料)1,000 | (立替金)50 |
(現 金)950 |
となります。
預り金(負債)で処理
従業員が受け取る給料のうち、一部は所得税として国に納めなければなりません。
ユメノ店では、従業員が納めるべき所得税を給料の支払い時に店で預かり、
後で従業員に代わって国に納めることにしています。
この場合、仕訳はどうなるでしょうか?
給料の支払い時に給料から天引きした源泉徴収税額は、
後で従業員に代わって店が納めなければなりません。
源泉徴収税は一時的に従業員から預かっているお金なので、
預り金(負債)として処理します。
預り金は、預かったお金を後で返さなければならない
(国に納めなければならない)義務なので、負債になります。
なお、従業員預り金(負債)や所得税預かり金(負債)で処理することもあります。
また社会保険料を預かっている場合には、
社会保険料預り金(負債)で処理することもあります。
例題を解きながら、一緒に考えていきましょう。
例題
<取引>
給料1,000円のうち徴収税額70円を差し引いた残額を、業員に現金で支払った。
仕訳は、
(給料)1,000 | (預り金)70 |
(現 金)930 |
貸借差額 |
となります。
預り金を支払った時
ユメノ店は、従業員から預かっていた所得額(源泉徴収額)70円を、
今日現金で納付しました。
この時、仕訳はどうなるでしょうか?
預かっていた源泉所得税額を現金で納付した時は、
預かったお金を後で返さなければならない義務がなくなるので、
預り金(負債)の減少として処理します。
よって、仕訳は
(預り金)70 | (現金)70 |
となります。