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師匠が語る、藤井聡太二冠の強さとは

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みなさん、こんばんは。

愛原 夢音です♪

 

今回は、坂本美雨のディアフレンズから。

 

将棋の藤井聡太二冠の師匠である

プロ棋士の杉本昌隆(まさたか)八段にお話を伺います。

 

 

 

 

杉本昌隆八段のプロフィールを簡単にご紹介します。

 

杉本さんは名古屋出身の棋士で、名古屋在住。

 

1990年、当時21歳のときにプロ棋士になりました。

それから30年が経った50歳現在、八段に昇格

 

杉本さんは、史上最年少で二冠を達成した

藤井総太さんの師匠でもあります。

 

 

10歳で弟子入りした藤井二冠

 

どんな風に教えたらあんな風になれるんだろうというのは

世界中が知りたいところだと思いますが…

 

藤井聡太さんが杉本さんに弟子入りしたのは、

いつだったのでしょうか?

 

 

それは…

 

 

10歳(小学4年生の夏)でした。

 

 

「弟子入り」という言葉が出てきましたが、

そもそも「弟子入り」とはどのような仕組みなのでしょうか?

 

 

弟子入りしないとプロになれない

 

将棋の世界というのは、プロを目指すにあたり

プロ棋士の元に弟子入りしないと、どんなに有能で

才能があってもプロの道を志すことすらできません

 

必ず、師匠が必要になるのです。

 

プロ棋士の誰かを師匠にたてて、奨励会試験という

プロの道を志すための世界に入ります。

 

 

将棋の世界は、いきなり門をたたくことができない世界です。

 

そういった意味では、当時の藤井聡太さんと杉本さんは

物理的に距離の近い位置にいました。

 

師弟関係はごく自然だったような気もする、と

杉本さんはいいます。

 

 

将棋界の意外な入り口

 

杉本さんが弟子入りしたのは、11歳。

 

杉本さんが将棋界に入ったきっかけは特殊なものでした。

 

現在の杉本さんの師匠から、

 

奨励会のプロの試験があるから受けてみないか

 

と誘われたのです。

 

 

師匠からどう思われていたかはわからない、と杉本さん。

 

 

小学生の頃から、プロ棋士を目指し弟子入りをするということは

かなり勇気のいることですし、覚悟も必要になってくると思います。

 

なかなかできることではありませんね。

 

 

先程、杉本さんが「奨励会試験を受けないか」と

師匠に声をかけられたと述べましたが…

 

実は、この将棋の世界。

 

プロの方から、少年・少女に対して

「試験を受けないか」と声をかけることはまずありません

 

なぜ、声をかけることがないのか。

 

その理由は、年齢制限責任の重さにあります。

 

 

重くのしかかる年齢制限と責任

 

まず、年齢制限についてお話します。

 

みなさんも1度は聞いたことがあるかもしれませんが、

将棋の世界には年齢制限という関門があります

 

いくら才能ややる気があっても、21歳の誕生日までに

プロの初段にならないと強制的に辞めなければいけません

 

関門はこれだけではありません。

 

26歳の誕生日までにプロの4段にならなければ

いけないという関門があります。

 

これもクリアできなければそこで辞めなければいけません。

 

 

それほど高い技術が求められるということなんですね。

 厳しい世界で生きていくためには、勝ち抜いていくしかありません。

 

そんな将棋の世界では、忍耐力や精神力

大切になってくるのかもしれません。

 

 

そういうわけで、いくら師匠が

「この子は才能がある」「見込みがある」と思っても、

年齢制限をクリアできなければ、この先の将棋界を

生き抜くことができないのです。

 

 

次に、「責任」について。

 

師匠が声をかけて、その子がもしプロになれなかったら…

 

声をかけた師匠が、その子に対してできることはありません

何かしらの責任を取ることもできないので、

よくよくのことがないと師弟関係を結ぶことはないのです。

 

もちろん、その子がプロになれたらこんなに嬉しいことはありません。

 

でも、プロになれなかったときに

師匠が最後まで責任を取れるわけではありません。

 

そのため、滅多に声をかけることはありません。

その子の人生を大きく左右することになりますからね。

 

そういった点で、杉本さんの場合は特殊だったといえます。

 

藤井聡太は幼少期から天才だった?

 

 

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それでは、当時の藤井聡太さんはどうだったのでしょうか?

 

 

杉本さんは、「彼は全然違った」といいます。

 

 

彼は絶対、プロになる。そう確信したそうです。

 

 

この子は絶対プロになって、プロタイトルを

 取るようなトップになれるだろうな」

 

ということを、

小学2年生の藤井聡太さんを見て思っていたそうです。

 

 

藤井聡太さんは、幼少期から負けず嫌いだったそうです。

将棋の技術や才能は、杉本さんから見てもかなりありました。

 

藤井聡太さんのような、いわゆる天才型の子は、

悔しさを表に出さないことが多かったといいますが、

藤井聡太さんは違いました。

 

とても強いのに、悔しい負け方をすると将棋盤を

抱きかかえるようにして盤にかじりついて大泣きしていました。

 

「強くて才能もあるのに、たまに負けるその1回がそんなに悔しいのか」

と、それを見ていた杉本さんは非常に驚いたそうです。

 

 

将棋以外のことでは、それほど感情を顕にしないように見える

藤井聡太さん。

 

大人しい子だったそうですが、将棋盤の前に座ると一変します。

「勝ちたい」という気持ちを前面に押し出すタイプだったのです。

 

やる気と情熱にみなぎっているとは、

このことを言うのではないでしょうか?

 

 

感想戦といって、将棋が終わると相手の人と反省会をします。

そういうところになると、すごく饒舌になるのだとか。

 

将棋盤を前にすると、とてもイキイキする少年だった

杉本さんは振り返ります。

 

 

弟子、藤井聡太から学んだ大切なこと

 

杉本さんの著書「弟子 藤井聡太の学び方、悔しがる力」という本が

PHP研究所から出版されています。

 

 

 

詳細を知りたい方はコチラをチェック! ↓

 

www.php.co.jp

 

 

この本には、藤井聡太さんへの愛情が綴られています。

杉本さん自身、藤井聡太さんから学んだことがたくさんあったそうです。

 

「私自身、あまり師弟関係が得意ではない」と語る杉本さん。

一体、どういうことなのでしょうか?

 

師匠だからとか、弟子だからとか…

お互いの関係をはっきりさせるのが得意ではないそうです。

 

境界線を引いてしまうと、

どうしても狭い視野、狭い見方になりがちです。

 

そのような考え方はせず広い視野で物事を見る、と

恐らくそういうことなのでしょう。

 

師匠だって、学びたい

 

師匠といえども、学びたいところは当然あります

 

杉本さん曰く、

 

「将棋の世界はとても奥が深いので、未だに将棋のことを

 わかっているとは言えないし、引退するまでずっと

 わからないんだろうなと思う」。

 

年を重ねても、学ぶ姿勢を忘れないということは

とても大事なことだと思いました。

 

 

杉本さん曰く、

まだまだ正解を探して模索している最中、とのこと。

 

道を極めたい」という思いはずっと心の中にあって、

それは、これからプロ棋士を目指す少年と全く同じ。

 

全く同じ道を志す同志なのではないかと思う、と

杉本さんはいいます。

 

道を極めるのに、

年齢は関係ないということなのかもしれません。

 

 

藤井聡太が貫く将棋スタイル

 

 

先程、杉本さんの著書には

藤井聡太さんから学んだことがたくさんあった」と

述べましたが、具体的に、藤井さんからどのようなことを

学ばれたのでしょうか?

 

 

まず…

 

藤井聡太さんの将棋は、いわゆる「小賢しさ」が全くありません

 

ずるさとか、相手の裏をかいて勝とうとか、

そういう思惑が一切ないんです。

 

毎回自分でしっかりよんで、考える。そして、常に最善を尽くす。

 

それが、藤井聡太さんのスタイルなのです。

 

これは、簡単にできるように思えますが実は難しい

なかなかできることではありません。

 

将棋は、良い手を積み重ねて勝つよりも

相手が間違えて結果としてそれをとがめて勝つことが非常に多いです。

 

相手に間違えさせるのが、実は簡単で手っ取り早い勝ち方なのです。

 

もちろん、それは戦術としてはありますが

藤井聡太さんは子供の頃から

そういうところはとても真っ直ぐな子でした。

 

藤井聡太さんは、相手の間違いを全く期待していません

とにかく自分の最善を尽くそうと将棋に向かっているのです。

 

最善を尽くす

 

これは、1番正しいことですよね。

 

なにも、将棋に限ったことではありません。

日常生活や仕事においても、とても大切なことだと思います。

 

ですが、多忙で忘れてしまいがちになってしまっている方も、

もしかしたらいらっしゃるのかもしれません。

 

勝敗の場面ではどうしても、「勝ちたい」という思いが

先行してしまって、相手が間違えることを期待してしまう

なんてこともあるかもしれません。

 

でも、本来は自分の最善を尽くさなければいけないのであって、

競争やライバル関係にあっても、相手を蹴落とすことが

目的ではないはずです。

 

そこを忘れてしまってはいけないのだと、私は思います。

 

 

藤井聡太さんは、今でも一局の将棋で

30分も1時間も考えたりするそうです。

 

子供の頃から、長時間考える癖はあったようですよ。

 

 

子供はたいてい、一局一局にそれほど時間をかけません。

 

そのため、あっという間に曲が終わるということが

圧倒的に多いのですが、藤井聡太さんは違いました。

 

それをやろうと思えばできたのですが、

それでも考えるタイプの少年でした。

 

良い手がわからないから考えているわけではなく、

自分の納得のいくまで考えたかったのではないか、と

杉本さんはいいます。

 

将棋ブーム到来 

 

さて、昨今の将棋ブーム。

これについて、杉本さんはどのように考えているのでしょうか?

 

子供の頃には想像もつかなかったことが毎日実現しているので、

とても嬉しいと杉本さんはいいます。

 

テレビで毎日のように将棋や藤井聡太二冠の話題が流れていることや

電車に乗っていて、高校生くらいの子が「藤井くんの将棋が…」と

いう話をしているのを聞いた杉本さん。

 

将棋がごく身近なところに存在するようになったことが

とても嬉しいといいます。

 

ラジオでも話をさせてもらえることも、将棋ブームのおかげ。

本当に夢のような時代だ、と杉本さん。

 

将棋ブームは藤井聡太さんが注目されるようになってから

一気に広まったような気がします。

 

 

この将棋ブームのおかげで、

プロになりたいという子供が増えました。

 

現在は、イベントなどに人がなかなか集まることができませんが

それでも、インターネットの将棋大会にはたくさんの児童が参加

 

将棋ブームの火付け役は、

藤井総太さんといっても過言ではありませんね。

 

個性が出る食事メニュー

 

 

プロ棋士が食べるメニューにも、注目が集まっています。

 

杉本さんのお気に入りのメニューは、麺類。

ちからうどんが好きで、よく頼むといいます。

 

食事メニューでも、個性が現れるそうです。

 

先輩棋士加藤一二三(ひふみ)九段。

「ひふみん」の愛称でおなじみの、加藤一二三さんですが…

 

いつも昼ごはんと夜ごはんのメニューが同じなのだとか。

 

たとえば…

 

昼が寿司だと、夜も寿司。

昼がうな重だと、夜もうな重  と、必ず決めているのだそう。

 

本人にその理由を尋ねると、「考えなくてもいいから」との答えが。

 

 

反対に、藤井総太さんはとても悩むそうです。

将棋だけでなく、食事のメニューを選ぶときも迷うんですね…

 

井二冠のお気に入りのメニューは

まだかたまっていないそうですが…

 

カレーライスは好きだと聞いたことがあるそうです。

 

スパイスが入っているから、

スタミナをつけるという点ではいいのかもしれません。

 

藤井聡太さんは、たいていメニューを変えているそうです。

 

藤井聡太さんがメニューを変えているのには、

お店に対する配慮があるのではないかと杉本さんは推測します。

 

藤井聡太さんが選んだものはとても流行ります

店にも注文が殺到するほどです。

 

そのため、バランスを考えて

メニューをいつも変えているのかもしれませんね。

 

 

喜ばれた贈り物

 

杉本さんが藤井聡太さんに贈って、喜ばれたものがあります。

それは、マスクと消毒液です。

 

藤井聡太さんが挑むタイトル戦の前日に、

マスクと消毒液をプレゼントした杉本さん。

 

その頃は、マスクが品薄で手に入りにくい状況でした。

 

杉本さんが手に入れていたものを、

「いつ会っても困らないだろうから」とプレゼントしたといいます。

 

 

「がんばれ」とは言わない 

 

言葉の持つ力というのは、本当に大きい

 

そう語る、杉本さん。

言葉の重みをひしひしと感じているようです。

 

弟子にかけるたった一言で、とても自信を持ってくれたり

逆に落胆させてしまう、なんてことも…

 

弟子に声をかけるときの言葉に注意を払っている

杉本さんが、特に気をつけていることがあります。

 

それは…

 

言葉で弟子を元気づけたり励ましたりするときに、

「がんばれ」と言わないこと。

 

なぜ、「がんばれ」と言わないのか?

 

その理由は、あえて言う必要はないからです。

 

弟子たちは、そんなことを言われなくても

がんばっている子たちばかりです。

 

わかりきったことを言っても、弟子の心には響きません。

 

ですので、

 

いい内容を期待しているから

いい1日を

 

といった言葉をかけるようにしています。

 

勝ち負けに絡むというよりは、

いい内容にするように、と言うことが多いそうです。

 

勝ち負けにこだわりすぎると、大切なことや

大切なものを見失うことにもなりかねません。

 

たとえ勝ったとしても、それが良い内容でなければ

中身の薄いものになってしまいます。 

 

行き過ぎはよくない、ということですね。

 

 

負けても良い内容、というのはあります

 

全力を尽くしたということなので、いい1日、

いい内容であることが大事なのではないかと思います。

 

 

逆に、杉本さんがかけられて嬉しかった言葉があるといいます。

 

最近は、

 

藤井聡太さんを応援していますけど、

 師匠の杉本さんのことはもっと応援しています」

 

と言われたことがあるのだとか。

 

そう言われると、嬉しくなりますよね。

 

 

師弟関係はいつまで続くのか

 

さて、将棋界における師弟関係。

これはいつまで続くものだと思いますか?

 

答えは…

 

 

永遠です!!

 

 

藤井聡太二冠、実は…

 

タイトルを取って師匠である杉本さんを追い越しました

 

 

ここで問題です!

 

弟子がタイトルを取って師匠を追い越した場合、

師弟関係は変わると思いますか?

 

 

 

答えは…

 

 

NOです。

 

 

追い越されたからといって、

杉本さんが藤井聡太さんの弟子になったり

藤井聡太さんが杉本さんの師匠になったり…と

いうことは絶対にありません!!

 

ですので、師弟関係は変わることはないのです。

 

追い越したり追い越されたりして、その度に

ころころと師弟関係が逆転してしまっては、

キリがないですからね…。

 

 

それでは、藤井聡太さんが弟子を取ることは

現実的にありえるのか。

 

その答えは、YESです。

 

今すぐにでも弟子を取れないわけではありません。

 

なぜなら、プロ棋士になれば誰でも弟子をとることは

可能だからです。

 

今弟子を取ったらさすがに驚きますが…

制度としては藤井聡太さんは弟子をとれる、ということになります。

 

 

自分が誰かの師匠になったとしても、

誰かの弟子であることは変わりありません。

 

受け継がれていくものですから、

藤井聡太さんもいつか弟子をとることになります。

 

自分の子供のような感じで、どんどん若い人に

自分の思想であったり、何かを伝えていって受け継いでいく

 

それが、将棋の世界です。

 

師匠が弟子に伝えることは、技術や戦法だけではありません。

 

自分の考え方や、行き詰まったときはどうするか、

課題をどう乗り越えていくかという思想などを

伝えていくことが大切になってくると思います。

 

それを弟子が受け継いでいくというのは、とても大事なことです。

 

そんな将棋界で快進撃を見せる藤井聡太二冠。

ますます将棋界から目が離せませんね!

 

 

 

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

次回もお楽しみに…♪