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企業が負う安全配慮義務とは

 

こんばんは、愛原 夢音です♪

今回は、安全配慮義務について話したいと思います。

 

この記事はこんな方におすすめ

 

 

健康管理に関する公法的規制

 

労働安全衛生法は、

「労働者の安全及び衛生に関しては労働安全衛生法の定めるところによる」

労働基準法第42条)という規定を受けて、1972年に制定されました。

 

労働安全衛生法の目的

労働安全衛生法の目的は、以下の2つです。

 

  • 職場における労働者の安全と健康を確保
  • 快適な職場環境の形成を促進

 

→ 最低の労働条件基準

 

健康管理に関する私法的規制

 

事業者は労働安全衛生法を遵守していても、

安全配慮義務に違反すると民事(私法)の損害賠償責任を問われることがあります。

 

どのような責任を問われるのか、みていきましょう。

 

不法行為責任と契約責任

 

安全配慮義務に違反した場合に負う損害賠償責任には、次の2つがあります。

 

不法行為責任不法行為による損害賠償(民法709条)

 

「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、

これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」

 

契約責任:債務不履行による損害賠償(民法415条)

 

「債務者(事業者)がその債務の本旨に従った履行をしないときは、

債務者はこれによって生じた損害の賠償を請求することができる。(以下略)」

 

となっています。

 

順に説明していきますね。

 

不法行為責任とは

不法行為責任とは、不法行為に基づき損害賠償を負う責任のことです。

 

不法行為とは、故意や過失によって損害が生じることです。

「故意」「過失」と聞くと難しく感がてしまうかもしれませんが、

簡単に言うと、「故意」は「わざと」、「過失」は「うっかり」という意味です!

 

不法行為によって発生した損害の責任を、

当事者でどのように負担し合うのが適切なのかを調整します。

 

この責任は、当事者間に契約責任がなくても発生します。

 

従来は「不法行為責任」による損害賠償が問われてきましたが、

1975年の最高裁判決以降、「安全配慮義務」の概要が認められるようになり、

「契約責任」による損害賠償を問われるケースが増えてきています。

 

契約責任とは

当事者間に契約関係が存在している場合に、一方の当事者が

その義務を履行*1しなかったことから損害が発生した場合の責任のことです。

 

以前は労働災害による怪我や死亡で違反が問われましたが、

最近では長時間労働による脳や心臓疾患の発症で

違反が問われるケースが増えています。

 

安全配慮義務とは?

 

安全配慮義務という言葉が何回か出てきて、

安全配慮義務って何?」と思った方もいらっしゃると思います。

 

ここからは、安全配慮義務について説明していきたいと思います。

 

安全配慮義務とは、実定法*2ではなく、

判例の積み重ねにより認められてきましたが、

2008年に施行された労働契約法で明文化されました。

 

 

 

安全配慮義務:労働者の安全への配慮(労働契約法5条)

 

「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等を

確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」

 

条文だけではわかりづらいので、わかりやすく説明します。

 

安全配慮義務とは、労働者が働く際、危険にさらされないために

使用者(企業)が労働者を保護するように配慮するべき義務のことです。

 

一言でいうと、

労働者が安心して働いていくために企業がとるべき措置のことです。

 

安全配慮義務の履行者

雇用契約の当事者は事業者なので、安全配慮は事業者が義務を負います。

また、実際に安全配慮義務履行するのは

業務上の指揮命令を行う権限を有する管理監督者です。

 

日常から従業員に接しており、健康状態を把握し、作業の内容量を調整する立場にある管理監督者の役割が重要になってきます。

 

 

まとめ

安全配慮義務には、業務の遂行に伴う疲労心理的負荷などが過度に蓄積して

労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意しなければならない義務も含まれる(メンタルヘルス不調も含む)

 

労働安全衛生法に違反した場合、一定の範囲で刑事罰の対象になる

 

✔事業者は労働安全衛生法を守っていても、損害賠償責任を問われることがある

 

✔労使で合意があった場合でも、労働安全衛生法で定めた基準を下回ってはいけない

*1:債務者が債務の内容を実行すること。実際に行うこと。

*2:社会で現実に行われている法のこと。