危機対応とリスクマネジメント
みなさん、こんばんは。
愛原 夢音です♪
今回は、「危機対応とリスクマネジメント」についてです。
- 自殺のサインがみられたときの対応
- 幻覚妄想状態の場合の対応
について詳しくみていきます。
危機対応とは
危機とは、人が自分を守るために持っている
保護や問題解決の方法が使えないことを指します。
命を脅かすほどの危ない状況であるともいえます。
そんな自殺や幻覚妄想状態などの緊急な対応が迫られることを、
危機対応といいます。
誤解を解くことが自殺防止の第一歩
自殺には、誤解されやすい考え方があります。
どんな誤解があるのかは、以下に示した通りとなっています。
誤った考え方をしないことが、自殺防止の一歩に繋がります。
◇誤解されやすい考え方
・自殺の可能性をより高めてしまうため、
自殺については問いたださない方が良い
・うつ状態が回復するにつれ、自殺の危険性は低くなる
・自殺傾向のある人は意志が弱い
・自殺傾向を不安や欲望の防御反応として解釈し、
感情を否定したり軽視したりする
自殺のサインを見逃さないために
自殺予防の10箇条が示す自殺のサインとは
自殺を示唆するサインとして、「自殺予防の10箇条」があります。
自殺のサインをあらかじめ知っておくことで、予防に繋がります。
- うつ病の症状に気を付ける
- 原因不明の身体の不調が長引く
- 酒量が増す
- 安全や健康が保てない
- 仕事の負担が急増する、大きな失敗をする、職を失う
- 職場や家庭でサポートが得られない
- 本人にとって価値のあるものを失う
- 重症の身体の病気にかかる
- 自殺を口にする
- 自殺未遂に及ぶ
出典:中央労働災害防止協会 労働者の自殺予防マニュアル作成検討委員会
『職場における 自殺の予防と対応』 厚生労働省
緊急性の高いサイン
自殺予防の10箇条では、自殺の兆候として
特にうつ病の症状のリスクが高いといわれています。
- 「死にたい」「生きていくのが嫌になった」と言葉にする
- 「頭がパニックになった」「何も考えられない」など強い困惑を示す
- 「会社を辞めるしかない」などと追い詰められている
- 失踪する、自殺未遂をする
これらの自殺のサインがみられた場合には、
一刻も早く専門医を受診させることが大切です。
また、本人を一人にしないような対処が必要となってきます。
一人で帰宅させないようにし、
一緒に帰宅したり家族に迎えに来てもらうなどしましょう。
専門医を受診したときは、自殺企図があることをきちんと伝えます。
自殺のサインがある場合は、本人の了解がなくても
メンタルヘルス不調についての個人情報を関係者に伝えても良いとされています。
管理監督者は部下の訴えを軽視せず、共感と支持をしながら支援をするようにします。
「自殺はいけない」と一方的に非難するのではなく、
辛い気持ちを受容することが大切です。
ただし、安易な励ましや全身を促す言動、叱責や批判、強引な説得は避けましょう。
「死にたい」という気持ちは本当の気持ちではなく、
その裏には困難な問題が隠れています。
今は死にたいほど辛いが、その問題が解決されれば
「生きたい」というメッセージに代わることがあります。
自殺の行動だけに囚われずに困難な問題の本質に目を向けることが重要となります。
◇覚えておきたいTALKの原則
Tell | あなたのことを心配しているということをはっきりと伝える |
---|---|
Ask | 自殺についてはっきりとたずねる |
Listen | 傾聴する、絶望的な気持ちについて耳を傾ける |
Keep safe | 危ないと感じたら、その人を一人にしない |
幻覚妄想状態への対応の仕方
従業員が幻覚や妄想状態にある場合には、
正常な判断を失っているので事故を起こす可能性が高くなります。
そのため、専門家への受診が必要になってきます。
本人には病気という意識(病識)が低いため受診が困難な場合もありますが、
まずは本人を説得します。
本人が強く拒否する場合は、家族に連絡して
受診の必要性を理解した上で受診を勧めてもらうことが重要です。
その際に、入院の必要性を考慮しなければならない場合もあります。
自分をコントロールできない状況下では、家族への連絡が可能です。
受診させる主体は家族であるべきですが、
家族からの理解や協力が得られない場合があります。
その場合は、本人が住む地域の保健所に相談するようにしましょう。
精神保健福祉法による2つの入院措置
幻想妄想状態への対応には、主に次のような法的措置があります。
※どちらの入院も日頃のネットワーク構築が危機対応時の決め手になります。
躁状態に対する対応
躁状態とは
躁状態は気分障害の一つで、気分が異常なほどに高揚した状態のことをいいます。
躁状態の主な症状
躁状態では、以下のようなトラブルが生じます。
- 相手かまわず批判する
- 暴言を吐く
- 喧嘩する
- 非常識・無謀な提案や主張をする
- 危険な行為から事故を起こす など
この躁状態は、数週間から数ヶ月続きます。
気分が高揚して自身に満ち溢れているので、
周囲が指摘しても行動を改めることはありません。
◇躁状態の主な症状
症状 | 具体的なエピソード |
---|---|
気分の高揚 | 多幸感、陽気、気持ちが高ぶる |
開放的 | 誰にでも見鏡なく話しかける |
自尊心の肥大 | 自分は何でもできると気が大きくなる |
易怒性(いどせい) | 些細なことでイライラする、怒りっぽくなる |
睡眠欲求の減退 | 眠らなくても元気なまま過ごせる |
会話心迫(しんぱく) | 多弁、早口で次々に話す |
観念奔逸(ほんいつ) | 次から次へと考えが浮かんでくる、話が飛ぶ |
注意散漫 | 気が散って集中が困難、落ち着きがない |
見鏡のない熱中 | 仕事などにおいて過活動になる、手当たり次第に電話をかける |
楽天的・軽率な判断 | 多額の浪費をする、逸脱した行動を取る |
治療方針と対応の仕方
治療方法としては服薬が中心となりますが、
自分から受診しようとしない場合が多いです。
そこで、「受診は本人のためでもある」と説得します。
本人の納得が得られない場合は、家族の責任で受診させるように計らいます。
家族や親類の協力が得られない場合は、
本人が居住する地域の保健所に相談しましょう。
家族や主治医と連携して治療を進めていくことにしましょう。