心身症と発達障害
みなさん、こんばんは。
愛原 夢音です♪
この記事はこんな方におすすめ!
心身症とは?
器質的障害と機能的障害
心身症には、以下の2つの病態が認められます。
心身症による疾患
過敏性腸症候群、偏頭痛、摂食障害、糖尿病などの疾患が心身症とされています。
間違えやすいのですが、心身症は精神疾患ではないことに注意しましょう。
重要!心身相関
心理社会的要因(ストレス)と身体疾患などとの間の
時間的関連性を「心身相関」といいます。
例えば、
- 人前で話す時に胸がドキドキする
- 試験前にお腹が痛くなる
など、心身は深く影響し合っているのです。
この心身相関を支える仕組みが、
脳・自律神経系・免疫系・内分泌系の系統です。
これらは互いに密接に関わり合っており、自律神経を乱すほどのストレスは
内分泌系を乱し、免疫力を低下させることになります。
心と身体の関わり
心と身体には、以下のように関わり合っています。
- 脳(中枢神経系)…心身のコントロールセンター
- 免疫系 …体を守る
- 内分泌系 …ホルモンによる調整
- 自律神経系 …相反する2つのシステムの協調
心身症の主な疾患
心身症の主な疾患には、次のようなものがあります。
過敏性腸症候群
ポリープやがんなどの病気でもなく、検査をしても病変が認められないのに
腹痛を伴う下痢や便秘などの症状が出現する大腸の病気です。
出勤途中で下痢になりやすいなど、ストレスを感じる場面で症状が現れます。
過敏性腸症候群の特徴と治療のポイント
過敏性腸症候群は、3つのタイプに分けられます。
- 下痢型 …大腸が痙攣する
- 便秘型 …肛門に近い場所が痙攣し、便を通りにくくしている
- 不安定型…下痢と便秘の交替型
治療のポイント
・心身相関への気付きを促し、
本人が症状をコントロールできるようになることが重要
・生活面では、規則正しい食生活と節酒、十分な休養と睡眠によって
心身のリズムを回復するように心がける
・症状を引き起こしている元のストレッサーへの対処も大切
緊張型頭痛
機能的な障害の1つで、一般的な頭痛です。
ズキズキとする痛みではなく、
連続性のある頭を締め付けられるような鈍い痛みが特徴です。
吐き気は伴いません。
入浴などでリラックスする他、認知行動療法などで
「痛みがあるから何もできない」といった認知を修正することが
効果的とされています。
摂食障害
思春期から青年期の女性に多くみられる疾患です。
食事や体重に関して強いこだわりを持ち、
やせたいという願望や太ることに対する強い恐怖を示すのが特徴で、
次の2つのタイプがあります。
摂食障害の疾患の特徴と治療のポイント
◇神経性食欲不振症
・やせているにもかかわらず、食事をとらなかったり食べたものを吐いたり、
下剤を服用して体重をコントロールしようとする
・やせているが、活動性は高い
◇神経性大食症(過食症)
・一度に多量の食物を摂取(過食)するが、吐いたり下剤を乱用して
正常体重を維持しようとする
・過食や嘔吐後は自己嫌悪に陥り、気分が落ち込むことが多い
上記の2つの疾患の治療のポイントは…
・治療は困難なことも多く、長期化することも少なくない
・食べる/食べないという見かけの問題だけでなく、
その背景にある「本当に困っている」に焦点を当てた、行動療法を含む
心理療法的援助が有効とされる
心身症の現れ方と職場での対処
職場では、心身症による消化性潰瘍、気管支喘息、糖尿病、高血圧症、
下痢や腹痛、頭痛、欠勤・遅刻などの症状が現れます。
従業員が心身症を発症した場合には、
管理監督者は業務負担について再検討する必要があります。
重要!心身症の要因と安全配慮義務
職場で心身症が認められた場合、
背景に職場要因があるかどうかの検討が必要になります。
これは、事業者には労働者の健康障害を回避するべき義務
(安全配慮義務)が課されているからです。
もし労働者に業務関連疾患が生じれば、業務上疾患として労災が認定され、
事業者は安全配慮義務不履行に伴う過失責任が問われる可能性が高まります。
発達障害
近年職場のメンタルヘルスにおいて、
発達障害が話題ににあることが多くなってきました。
「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、
注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能の障害であって、
その症状が通常低年齢において発現するもの」
と定義されています。
ここでは、発達障害の疾患としてADHD(注意欠陥多動性障害症候群)と
アルペルガー症候群*1の特徴についてみていきます。
ADHDとは?
以下のような特徴があります。
ASDとは?
自閉症には、
- 言葉の発達が遅れる
- コミュニケーションが困難
- 特定のものに興味が浅い
- 異常なこだわりがある
といった特徴がある障害です。
アスペルガー症候群は、言葉の発達の遅れを伴わない症状のことをいいます。
(自閉症の一種です)
アスペルガー症候群の特徴は、以下の通りです。
- 会話が一方的になりやすい
- 急な予定変更に弱い
- 融通が利きにくい
- 会話の行間を読むことや抽象的な概念が苦手
など
発達障害が大人になってから発覚することも…
通常「低年齢において発現」とされているものの、
幼少期には明確に症状が発現しなかったり大きな問題とならなかったりしたため、
成人して初めて「発達障害」と診断されることが大半です。
その場合、トラブルの発現の場所が職場となり昨今問題となっています。
精神障害やパーソナリティ障害との識別も必要なため、
上記のようなトラブル(症状)があったからといって、
安易に発達障害と決めつけないようにしましょう。
発達障害と診断された場合は、
「何ができて何ができないのかを整理すること」や
「業務遂行に必要な支援の検討」などを行い、
本人の長所・短所などの特性を把握し、相性・適性を検討しながら
本人の特性を活かす視点で支援することが大切です。
ASDは環境を整えたり本人が自己認識することが有効ですが、
ADHDは薬物が有効な場合もあり、早期診断や薬物治療の検討が必要です。
まとめ
◎心身症とは、身体疾患のうち、その発症や症状経過と心理社会的要因
(ストレス)の間に時間的関連が認められるものを指す
◎過労や睡眠不足、心理的な葛藤などのストレス状態が長く続いた時などに
感染症にかかりやすくなるのは、免疫系と関係が深い
◎過敏性腸症候群には、ポリープなどの腫瘍は生じない
◎神経性食欲不振症の患者の多くはやせている
◎仕事上の問題として、心身症は遅刻・欠勤などの形で現れる